2021年1月30日土曜日

照井三余「両端に雪を残せし沈下橋」(第21回「ことごと句会」)・・・


  第21回「ことごと句会」(2011年1月20日付)、雑詠3句+兼題「明」1句。郵送により、事務局の金田一剛は、切手句会と呼んでいる。とにかく、一人一句を以下に挙げておこう。


   寒月の薄き刃は濡れている           渡邊樹音

   日と月と星といふ名の宝石屋          金田一剛 

   シンフォニーいちょうひた降る夜の街路(みち) 渡辺信子

   寒月の残りを食らう明け烏           江良純雄

   初み空洗ひ終りし心(こころ)干す       武藤 幹

   枯蟷螂叱った時の父に似て           照井三余

   寒雷はやがて明るき鳥に会う          大井恒行


〔一口評〕

⑬「両端に雪を残せし・・」、鮮明な実景だと思います。―恒行

⑯「寒月の薄き刃は・・」、何とも不気味。恐怖感、怨念を感じる。ー幹・・・「刃」の月が桃色、白色などに濡れて見える。ならば読み手は作者についてゆけるのですが。―三余

⑲「シンフォニー・・」、落葉が音符。ブレストで奏でる秋のエンディング。-純雄

⑭「寒月の残り・・」、石を啄む鴉の飢えを見て、何とか句にと思案していましたが、こういう表現ができるのですね。「残り」!恐れ入りました。―信子

③「初み空」は、「初御空」にとしたほうが俳句トラディショナルかとおもいます。―剛

㉓「枯蟷螂・・」、色を失った静かな枯蟷螂。情景がよくわかる。年老いた父を思い出し泣けてきた。―樹音

㉔「寒雷は・・」、プレリュードとして捉える。―純雄



  撮影・鈴木純一「鱗(ウロクヅ)ノ我ガ月呑マナ氷二上ル」↑  

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