2021年4月15日木曜日

阿部鬼九男「狼煙緑 祝祭の・眠りのジュネよ」(『黄山房日乗』四月十五日)・・・


                  1986年4月15日↑

十五日、端渓社へ第一稿。井伏鱒二『岳麓点描』 米軍機、リビアを攻撃。
アメリカに根強くある”目には目を”の姿勢。安手なヒロイズム神話も容易に壊はしはしない。

    狼煙緑 祝祭の・眠りのジュネよ     阿部鬼九男 

*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・


         4月15日(木)・・・晴

 「端渓社へ第一稿」とあるのは、本著の原稿のこと。つまり、4月1日からの半月分の日録が送稿されたことになる。そのことを、比喩的に表現して、新緑とともに、上句「狼煙緑」と書き留めているのではないか。井伏鱒二『岳麓点描』は彌生書房の新刊。この年(1986年)、ジャン・ジュネは『恋する虜ーパレスチナへの旅』を執筆、校正中に死去した(1986年4月15日)。この日の、ほぼ同時刻、リビアの首都トリポリを、米大統領レーガンが予告なく爆撃、標的は最高指導者・カダフィ。前日には、つまり1986年4月14日、シモーヌ・ド・ボーヴォワールが亡くなっている。従って、ジュネの死は、これらのニュースにかき消されていた。


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