2015年3月26日木曜日

水之森果林「手袋をぬぐ仕草らも春めいて」・・・



水之森果林句集『虚空曼陀羅華=花鳥風月への鎮魂歌(requiem)』(「金亀子」社)から。総句数50句からなる手作りの句集だが、各句には、すべて前書が付されている。ブログタイトルの「手袋をぬぐ仕草らも春めいて」にも「誤解(misinterpretation)」の前書が置かれている。従って、当然ながら前書と句は対応している。そこに表現者の述志がみえる。が、それはそれで、かなり読み手の想像力を限定してくる。以下に少し抄出しておこう(英語が苦手なので、なるべく表記が簡便な句を例に・・)。

          欺瞞(deception)
   暮れる陽(ひ)も我もわすれた鰯雲           果林
          絶望(despair)
   落葉ふむ少女の目に焚く落葉を
          洗脳(brainwashing)
   松過ぎて思い出したるわらべ唄
          断腸(broken heart)
   山羊の目に宿る日永のきのうけふ 

     
近いうちに同人誌「こがねむし」(年2回発行)を創刊するらしい。その誌名は「虚子翁の『金亀子擲つ闇の深さかな』(明治41年作)と『金亀子擲つ闇をかへし来る』(昭和7年作)から頂いた」としたためられている。
ちなみに水之森果林は椿寿忌(4月8日)生まれだともいう。「あとがき」の最後は「無謀とは知りつつ、それでも鎮魂歌として、深海に眠る彼らに捧げたいと思います・・・・合掌!」と結ばれている。


                    ハナモモ↑

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