2015年10月22日木曜日

上森敦代「村ごとに違う神在り秋祭」(『はじまり』)・・・



上森敦代(うわもり・あつよ)、昭和33年、京都市生まれ。
句集『はじまり』(飯塚書店)の「あとがき」に、言う。

 「はじまり」は一九九八年に四人ではじめた「quatre」という俳誌の創刊号のテーマでした。当時の無鉄砲な日々と、ときめきは、かけがえのないものです。その時遠くまで行けそうな気持を、大切にしたいと思っています。そして、この句集がまだ見ぬ私に出会うための起点になると信じ『はじまり』と名付けました。

こうして、また永遠の旅に赴く日日が始まっているのだろう。
ともあれ、帯の著者の自選句を除いて、愚生が印象にとどめたいくつかの句を以下に紹介しておこう。

  だまし船ほどいて眠る朧月          敦代
  仏間まで風吹き渡る稲の花
  真夜中の訃報 あとから あとから雪
  海蛇で過ごす生涯春の暮
  村ごとに違う神在り秋祭
  祭からはなれて祭見ておりぬ
  戒名の母と椿を眺めたり
  しばらくは水に従う落椿
  相槌をときどき忘れ冷奴
  冬の月五臓のひとつ欠けており




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