2016年4月10日日曜日

佐藤榮市詩集『フラミンゴ キイ』(蒼天社)・・・



佐藤榮市は1948年神戸生まれ。過去に詩集『リンム』、句集に『チキンスープ』『猿笛』などがあり、俳句誌では「垂人」「現代定型詩の会」、詩誌では「詩的現代」に参加している。かつては「豈」「夢座」の同人であったこともある。
このたびの新詩集『フラミンゴ キイ』は、言葉がリズミカルで、かつ挿画まで自身で描くのだから、多才を感じさせる。
「あとがき」に言う。

 俳句的反動というべきか、やたらダラダラと詩が長くなってしまうのは、自分でも反省していて、なるべく、洒落てシンプルで短いものを、と心がけるんだが、どうも物語的構図のなかにポエジーを引き込もうとする癖(へき)があり、それに成功すると恍惚頭がさらに酔心地を覚えるものだから、さてどうなりますことやら。言葉の音がどんどん先行し、意味が後からあえぎながら追いかける、そんな詩を夢見てもいる。

意味があとからあえぎながら追いかけるというのは、俳句から学んだ手法ではなかろうか。

この詩集は今じゃないと、あるいは今だからこそできた詩だと思っています。きっとこれからは「老いの繰り言」との戦いになるでしょう。

とも記している。
で、一番短い詩を全部引用しようと思ったが、どれも長いので、割愛して、以下に載せる。許されよ。

      なぎさにたって

  なぎさにたって
  なぎのうみ
  さんごのなみの
  さなぎになって
  ちゃくちゃくと
  ひょうちゃくする
  ひとりとなって
  ちいさなしまへ
  ぬきてをきって

  ことばにあかるみ
  ささやかなものたちが
  きみをわすれないしま
  かくれんぼのしま
  かくれたことをわすれて
  ねむってしまい
  そのしまのことを
  ゆめみているしま

  (以下略)



                 マンサク↑

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