2020年1月9日木曜日

佐々木六戈「幼子が水に攫はれゆく形つなはち「流」と白川静(「艸(くさかんむり)」第0号)・・



 艸(くさかんむり)第0号(編集・発行 佐々木六戈)、表Ⅱに、「この世界は美しいものだし、人間のいのちは甘美なものだ。」と献辞がある。巻尾の跋によると、釈尊のものらしい。跋には、

 〇艸を「くさかんむり」と訓むこととする。これまでの私たちの集いは一七年もの長きに渡って「草藏」を名乗っていたが、藏にはそもそも、「草の中に藏(かく)れた人の意があったようだ。私たちは隠れ果せただろうか。作品の背後に。あるいは堅く扉を閉じて。再び、私たちは「艸」へ結集する。艸は創に通じて「はじめ、はじめる」の意がある。起草の草でもある。書きはじめるのである。

 と冒頭にあり、また、

〇艸会*瓶華評*員集として皆さんの句が並ぶ。私は選句を行わない。但し、毎号五、六句の短評をこれに付け加えることとする。

  ともある。ともあれ、前誌「草藏」と同じく、佐々木六戈は俳句「この一年余」、短歌「草は生え、子どもたちは」、詩「冬のエンペドクレス」を発表している。ともあれ、詩を除いて、六戈句と「瓶華評」掲載の句のみを紹介しておこう。

   在さねば見ゆ野の色山の色         六戈
   群青も澄みなば暗し龍の玉
   息白く後ろ明かりの鶴のこゑ
   夢長く木の実を拾ふまでの径
   ひもじさの狐の色も薄れたり
   「草は生え、子どもたちは死なねばならぬ」スタンザの欠片のごとく雲浮かびをり
                       スタンザの欠片*ヴィクトル・ユゴー

   黙読のわれは籾殻こぼしけり     葭澤美絵子
   昏れてなほ万木の実の降り積もる    荒井八雪
   北ばかり見てゐるうちに霜柱    かとうさき子
   『漢字字解』を動かざる冬の蠅     藤原 明
   藁塚の整列したる匂ひかな      山田やよひ  



撮影・染々亭呆人 ↑

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