2020年1月18日土曜日

川島紘一「厄払うかわらけ的を外(はず)れけり」(第199回「遊句会」)・・

       
撮影・渡辺保 ↑

 一昨日1月16日(木)は、第199回遊句会(於:たい乃家)だったが、愚生は、急用ができて出席できず、急遽、欠席投句をお願いした。次回の遊句会は、目出度く200回、それも令和2(2020)年2月20日(木)の2並びの記念すべき日となる。加えて、恐縮にも遊句会に若輩途中参加の愚生に、3月の兼題を出せという巡り合わせになっているようだ。ともあれ、送られてきた句稿より、一人一句を以下に挙げておこう。今月の兼題は、焚火・厄払い・春遠し。

  焚火あと噂話(うわさばなし)の熱残す    武藤 幹
  歩みよる今朝の諍(いさか)い夕焚き火    橋本 明
  火が細り芋を待つ児ら落葉焚き        天畠良光
  落葉焚く煙の向こうにグレタの目       石川耕治
  山積みの被災家財や春遠し          川島紘一
  東尋坊人生丸ごと厄払い           山田浩明
  秘め事も煙となるや焚火燃ゆ        山口美々子
  その爺は「焚き火奉行」と云うあだ名     村上直樹
  はや九年磐城の国に春遠し          渡辺 保
  あれこれと大師のはしご厄落し       植松隆一郎
  友の名の二つ三つ出ず春遠し         石原友夫
  恋文に焼芋のせる焚火かな         中山よし子
  厄払い福を求めて銀座かな          前田勝己

☆番外(欠席)投句・・・・・

  断捨離でやったつもりの厄払い       原島なほみ
  春遠し六郷走る京急線           春風亭昇吉
  これでもか涙の数の厄払ふ          林 桂子
  年変はり今年も行こう厄払い         加藤智也
  焚火して火の鳥を飼う男かな         大井恒行
  

次回は、2月20日(木)。兼題は入学試験(入試)・春雪(春の雪)・余寒、当季雑詠。



★閑話休題…花森こま「花野にはまっさおな骨散りばめて」(「逸」第41号)・・・


「逸」は花森こまの個人誌である。不定期だが、何十年も発行し続けている。御主人は、柳人の楢崎進弘である。今号でも柳句100句ほど発表している。花森こまもそれに劣らない句を発表している「九月の町」。その「こまのひとりごと」に、

 転移がみられ、肝臓がんということで新しい治療を受けている。手術ができない部位ということで、抗がん剤治療と注射。覚悟はできていたので、仕方ないかな、と受け止めている。(中略)
 昨日はお風呂で転んでしまった。怪我はしなかったけど、ちょっと自分で情なかった。
 これでもかと、夫が大量に句を作っているので、わたしもよい刺激を受けている。

 と記されている。愚生が、花森こまと知り合ったのは、永田耕衣がまだ健在だった頃、彼女は耕衣の「琴座」に居た。阪神淡路大震災から25年というから、それ以前のことである。耕衣も被災し、それを機に老人ホームに入った。そして、たしか97歳で死去した。
花森こまの本復を祈りたい。「逸」にはまた、木戸葉三が寄稿している。彼の句集「幺象眉学(ようしょうびがく)」を、愚生は作らせてもらったことがある。愚生より二十歳くらいは若かったように思う。ともあれ、「逸」本号より、いくつか句を紹介しておこう。

  原っぱにうすく光がつもるなり     花森こま
  犬というだけでは罪に問われない    楢崎進弘
  救われる魂もなくよもぎ餅      山口可久実
  風鈴としだいにくるいゆくわたし    木戸葉三
  介護日誌ぱたりと落し寝入るのだ    一戸涼子
  寝返りを打たねば異界見えそうで    細川不凍
  
  

撮影・鈴木純一「息とめて臘梅の字に点を打つ」↑
純一 蠟梅↑

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