2021年6月4日金曜日

神野紗希「起立礼着席青葉風過ぎた」(『俳句部、はじめました』)・・・


  神野紗希『俳句部、はじめました』(岩波書店)、帯の惹句に、


 詠もう 読もう / 俳句は君を /  待っている 

 ジュニスタ創刊!(中学生の探求学習に最適!)


 とある。表4側の帯には、「岩波ジュニアスタートブックス」とあって、他の刊行図書として、中満泉『未来をつくるあなたへ』、鎌田浩毅『地震はなぜ起きる?』、小西雅子『地球温暖化を解決したいーエネルギーをどう選ぶ?』のラインナップがある。表4の惹句には、また、


 俳句は五七五のリズムにのせ、/季節の言葉の力を借りて詠む、/小さな小さな詩です。

 十代で俳句に出会い作句を続ける著者が/その魅力を伝え、作り方を伝授します。

 十七音のカンバスに、一度きりしかない/あなたの「今」を描いてみましょう。


 ともあった。「俳句が世界を変える—あとがきにかえて」の冒頭には、


 科学は、病気を治す薬を発明したり絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)を守ったり、世界そのものを変える力をもちます。一方、文学は、世界のとらえ方を変えるものです。


 と記されている。ここでは、「十七音、コトバの宇宙」の章から、一か所引用しておこう。


   月凍(こお)る辺野古(へのこ)の土砂にジュゴンの死  岡田真巳

                           愛媛新聞「青嵐俳談」

 美しい沖縄・辺野古の海。海域には絶滅危惧種(ぜつめつきぎしゅ)のジュゴンも生息していましたが、アメリカ軍基地の移設工事が進む中、二〇一九年には一頭の死骸が発見されました。冬とはいえ暖かい沖縄の月を「凍る」とまで厳しく感じるのは、ジュゴンの死を重たく受け止めるがゆえです。当時、高校生だった作者が、思いをこめて社会に投げかけた一句です。(以下略)


 ともあれ、本書中より、いくつかの句を挙げておこう。


   失恋や御飯(ごはん)の奥にいなびかり     高山れおな

   水の地球すこしはなれて春の月         正木ゆう子

   小鳥来る三億年の地層かな            山口優夢

   まくなぎよ地球は君をこぼさない         池田澄子

   西瓜(すいか)食ふまだ机なき兄妹(あにいもと) 小川軽舟

   神の留守母子家庭ですけど何か          永瀬十悟

   口開けて叫ばずシャワー浴びてをり        五島高資

   春はすぐそこだけどパスワードが違う       福田若之

   霧深き森へ隠そうシリアの子          宇多喜代子

   コンビニのおでんが好きで星きれい        神野紗希


 神野紗希(こうの・さき) 1983年、愛媛県生まれ。


      撮影・鈴木純一「立葵の動きをまねる 悪くない」↑  

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