2017年6月26日月曜日
鈴木伸一「傾く原子炉支へるもののなき夏空」(『吟遊同人自筆50句選』より)・・
未来より滝を吹き割る風来たる 夏石番矢↑右ページ
ポストまで歩けば五分走れば春 鎌倉佐弓↑右ページ
創刊20周年記念・夏石番矢編『吟遊同人自筆50句選』(七月堂)、「あとがき」には以下のように記されている。
ここでいま、第七四号までのすべてを振り返る余裕はない。ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、オセアニア、アフリカ五大陸すべてからの俳句に和訳を付して掲載し、自分たちの俳句に、英訳を中心に、仏訳、独訳、スペイン語など欧米諸言語、中国語、モンゴル語などアジア諸国、多くの地域に広がるアラビア語などの翻訳も付け掲載した。
このような多言語にわたる俳句交流で忘れてならないのは、俳句が国際化と言うよりは世界化した現状においては、俳句が日本で生まれ、日本語による俳句創作がやはり、世界俳句の中核であるということだ。(中略)
日本語での創作が中核なら、東アジアとイスラム圏で独自の文化を生んできた書の文化を活用しないのもまた、浅薄な錯誤である。
二〇一七年秋に創刊二〇周年を迎える国際俳句雑誌「吟遊」は、その祝いのイベントを、東京、今治、神戸で開催する予定で、この本に複製が収録された五〇枚の色紙は、一〇月一八日から二二日まで、東京・神田神保町の東京堂ホールで開催される。
また、巻末には「吟遊同人自筆五〇句選一覧」が英訳(夏石番矢 エリック・セランド)を付して掲載されている。
書影はないが愚生の知っている幾俳人かの句を以下に紹介しておきたい。
肉体のどこか薄明りに祠 木村聡雄
民意拒まれ苦瓜(ゴーヤー)の種真っ赤 金城けい
海底に届かぬ声か木枯か 白石司子
指立てて指のさびしき夏の暮 鈴木伸一
冬瓜の芯より淡き近未来 長谷川裕
しびれるような未開が梔子 古田嘉彦
祭壇の赤青黄色さびしきべろ 松本恭子
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