2017年10月18日水曜日
衛藤夏子「冬銀河遺伝子操作研究中」(『蜜柑の恋』)・・
衛藤夏子・俳句とエッセー『蜜柑の恋』(創風社出版)、「船団」の俳句エッセーシリーズの中の一冊。坪内稔典の帯文には、
なっちゃん(夏子)は自然体、そしてちょっとした幸せにとても敏感だ。このなっちゃん、小説と映画と俳句が大好き。家族と友だちを愛し、薬剤師を仕事とする。当年52歳、まさに働き盛りのなっちゃんのこの本は、読後の心を清爽にする。若葉風が吹いたようだ。
とあって、まさにその通りの俳句とエッセーである。幸せそうな人生がそこにある。愚生とは生きる上での真剣さ、心がけが違うようだ。羨ましいといえば羨ましい。巻尾に「わたしの十句と短いエッセーの章がある。その中に「櫛買って人想う夜十三夜」の句のエッセーの最後は、
歳を重ねると、どういうわけか、欠けているところのある人間に魅かれます。どんな人間にも表と裏があり、強さと弱さがあります。若いころには、その人の表や強さに魅かれていましたが、、だんだんと裏や弱さ、愚かさに魅かれるようになりました。それは、すなわち、人間そのものが面白くて、好きになっているのかもしれないです。
とあって、やっぱり、愚生は魅かれなくてもいいから?自身にもう少し強さがほしいな・・と思ったりした。もっとも、多くが、映画や小説、そして仕事のことについてのエッセーなので、著者を知るにはまたとない手軽に読める本なのである。
ともあれ、引用するには、エッセーの良さも損ねてしまうので、直接、本書を読まれたい。ここでは、集中より、いくつかの俳句を以下に挙げるにとどめさせていただこう。
星祭院内感染増殖中 夏子
白シャツと黒の下着の採血日
怒りんぼう淋しんぼうかも秋の雲
過去に降り現在に降り外は雪
ときめきを見透かしている夏の星
雁渡る難民渡る境界線
衛藤夏子(えとう・なつこ)1965年、大阪府生まれ。
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読んでいただき、ありがとうございました。あたたかい感想に感謝しています。本当にありがとうございました。(*^_^*)
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返信削除お身体大切にご自愛下さい。