「現代俳句」11月号臨時増刊号(現代俳句協会)、まるごと一冊「第57回現代俳句全国大会入選作品集」(主催・現代俳句協会、後援・文化庁、毎日新聞社、読売新聞社、朝日新聞社、中日新聞)である。応募句総数14535句。去る10月25日に、名古屋市の名鉄ニューグランドホテル開催予定のもろもろの行事は、新型コロナウイルスの感染拡大により中止された。とはいえ、愚生も選者の一人だったので、まずは愚生が特選に選んだ句が5句記録されているので、作者に敬意を表して挙げておきたい。特選1位はブログタイトルにした句である。
父の戦死母の戦後を蛍飛ぶ 赤澤敬子
生きている骨抱く痩せた膝を抱く 直江裕子
雲は気を樹は影を吐き八月来 夏木 久
ははの戦後はわれの戦前百日紅 加藤遊名
令和はや祈りに満ちて返り花 吉倉紳一
選考はどうしても、各選者の点の多く入った高点句が受賞の栄にあずかるので、ある種の大衆性、一般性、通俗性の有している句にならざるを得ないところがある。ともあれ、以下に大会賞などを記しておきたい。
白シャツの青田匂ひして乾く 武市忠明(現代俳句大賞)
二人しか入れぬ木陰沖縄忌 岡本千尋( 同上 )
未来だけ見てゐた頃やソーダ水 柾木幸子(毎日新聞社賞)
ヴィーナスの誕生のごと木の根明く 吉池史江(読売新聞社賞)
どの子にも違ふ空ありしやぼん玉 杉山一川(産経新聞社賞)
蛇は全長以外なにももたない 中内火星(朝日新聞社賞)
六十秒前の青空広島忌 有本仁政(中日新聞社賞)
履歴書を書かぬ一生種を蒔く 飯田順子(俳句のまちあらかわ賞)
撮影・鈴木純一「人ヲ見タラ葉ッパ一枚咥へナサイ」↑
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