「第58回全国俳句大会入選作品集」(現代俳句協会)、10月30日(土)に、上野東天紅で予定されていた全国大会は、新型コロナ感染対策のため中止、来年は九州地区での開催となる。因みに作品応募数は12069句、予選通過作品は4226句。 以下に優秀作品と愚生の特選句のみを挙げておこう。
方舟はこんなかたちと置くマスク 多田せり奈(現代俳句全国大会賞)
死んでから蛇重くなる棒の先 杉原青二( 〃 )
にんげんをあるいていればしぐれけり 朴美代子(毎日新聞社賞)
八月の修正液は火の匂い 山本敏倖(朝日新聞社賞)
水かけて出水の水を押し流す 尾堤輝義(産経新聞社賞)
太陽が捨てられてゐる夏休 三玉一郎(東京新聞社賞)
風花を小舟のように母が来る 清水茉紀(読売新聞社賞)
蟬時雨わたくしたちは時間です 油津雨休(俳句のまちあらかわ賞)
選者・大井の特選一位と特選句は、
万緑の地球の浮力鳥放つ 志村宣子(特選1位)
片陰をマスクの俘虜として進む 根本菜穂子(特選)
万緑や死は数となり棒グラフ 衣川次郎(〃)
小児科にりすくまくじら小鳥来る 河野寿子(〃)
車椅子輪になつてゐる花の下 三尾和子(〃)
★閑話休題・・小沢真弓「秋風や花いちもんめでさらはれて」(「阿夫利嶺」終刊号296)・・
本誌に「『阿夫利嶺』終刊のお知らせ」が、挟み込まれていた。それには、
突然ではありますが、俳誌「阿夫利嶺」はや山本つぼみ主宰の体調不良、長期療養の必要性から、この十一月・十二月合併号をもちまして終刊することとなりました。創刊以来二十四年、二九六号でした。
長きに渡りまして多くの皆さまに支えて頂きましたこと、心から感謝を申し上げます。
二〇二一年十一月
阿夫利嶺副主宰 小沢真弓
阿夫利嶺同人会会長 大塚和光
とあった。因みに、表2の鈴木香穂里「主宰の一句・その周辺」は、
冬木の芽構図の中に亡夫を置く 山本つぼみ
阿夫利嶺 二七七号より
であった。編集後記には、「句会は継続させながら新しい方向を手探りしていこうよ話し合っています」ともあった。
撮影・鈴木純一「廃屋は秋海棠もまゝならず」↑
0 件のコメント:
コメントを投稿