2021年11月20日土曜日

中田美子「超現実主義的花嫁秋の虹」(「ユプシロン」NO.4)・・・

 


 「Υ  ユプシロン」NO.4、発行所の中田美子は「あとがき」に、


  この一年で一番心に残ったのは、ある惑星探査機から発せられた電子音だった。ごくごく普通の家電のスイッチを入れた時と同じ、あの「ピッ」という音だ。

 その探査機は地球から八年の歳月をかけて冥王星に向かっていて、その間、すべての機器の動きを止めて消耗を防ぎ、ただそこに存在している、ということを伝えるために、毎日、小さな信号音を地球に送り続けた。(中略)

 この一年、私たち四人もほとんど集まることができなかったけれど、何とか作品集をまとめることができた。小さな着信音のようなこの一冊が、たとえば広大な海の存在を伝えるものであってほしいと思う。

 

  ともあれ、以下に各人の句を挙げておこう。


  どうしても先に進めず水からくり     中田美子

  ももんがを飼うももんがの飛ぶ小部屋

  阿弗利加の木彫のきりん星月夜      岡田由季

  解体の和室あらはに木瓜の花

  金魚玉しずかに閉まる勝手口      小林かんな

  インパネス空はかもめを増やしつつ

  うっかりと如雨露より虹でてしまう    仲田陽子

  眠りつつ老ゆ鬼灯を手のひらに  

 


      
撮影・芽夢野うのき「不法投棄は犯罪です蟹歩む」↑

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