「Υ ユプシロン」NO.4、発行所の中田美子は「あとがき」に、
この一年で一番心に残ったのは、ある惑星探査機から発せられた電子音だった。ごくごく普通の家電のスイッチを入れた時と同じ、あの「ピッ」という音だ。
その探査機は地球から八年の歳月をかけて冥王星に向かっていて、その間、すべての機器の動きを止めて消耗を防ぎ、ただそこに存在している、ということを伝えるために、毎日、小さな信号音を地球に送り続けた。(中略)
この一年、私たち四人もほとんど集まることができなかったけれど、何とか作品集をまとめることができた。小さな着信音のようなこの一冊が、たとえば広大な海の存在を伝えるものであってほしいと思う。
ともあれ、以下に各人の句を挙げておこう。
どうしても先に進めず水からくり 中田美子
ももんがを飼うももんがの飛ぶ小部屋
阿弗利加の木彫のきりん星月夜 岡田由季
解体の和室あらはに木瓜の花
金魚玉しずかに閉まる勝手口 小林かんな
インパネス空はかもめを増やしつつ
うっかりと如雨露より虹でてしまう 仲田陽子
眠りつつ老ゆ鬼灯を手のひらに
撮影・芽夢野うのき「不法投棄は犯罪です蟹歩む」↑
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