2019年7月4日木曜日

林田紀音夫「洗った手から軍艦の錆よみがえる」(「瓏玲」創刊号より)・・・



 「瓏玲」創刊号(瓏玲俳句会)、その中のエッセイの一篇に、東金夢明「俳句徘徊」は林田紀音夫について言う。

 (前略)この時期は、意識的に無季の句に取り組み、発表した。ただ後日、「季語と文語定型の箍をはずして以降、まず文体的に猥雑と言う形で、てきびしく俳句からの仕返しを受けた」と語っている。季語という俳句の根幹のひとつをあえて無視することの代償は大きいと言わねばならない。

 ただ、林田紀音夫は、なぜ現代仮名遣いで俳句を書くか?ということについて、「俳句を現代仮名遣いで書く意味は、現在の猥雑さに賭けるということだ」と言っていた。愚生の若き日、歴史的仮名遣いに見切りをつけ、現代仮名遣いで俳句を書こうと決意した切っ掛けの言である。その試みは、成否を別にして、いまも正しい試みだと思っている。それは、どのように言おうと、歴史的仮名遣いを使うことで、言語の旧的な秩序にどこかで寄りかかるという心性をあらわしているからだろう。いわば、現在の猥雑さに賭けるということはそれほど困難な営為であるということを指していたと思う。それでも歩むしかない。
 本誌創刊号には、多くの俳人からの祝句が寄せられているが、とにかく、以下に一人一句を挙げておこう。

   わたくしは専守防衛ももの花      今野龍二
   平成もすでに幻蛇の衣         東金夢明
   原罪はあるかも知れず林檎剥く     山中正己
   金魚玉竜宮城の容れてあり       中村和弘
   道などはない夏野の自由駆り立てよ   秋尾 敏
   (ぎょく)一つひとつ縁に和するかな 松澤雅世
   探し出す青葉の中の未知なる音    佐怒賀正美
   うぐいすのよく鳴く日なり富士玲瓏   川辺幸一
   瓏玲の旅立ちの朝青山河        青木栄子
   さえずりの浮力をバネに帆を上げよ   山本敏倖
   懸崖は海の他なし道おしへ       日野百草
   ひるがえる度の息継ぎ飛花落花    栗原かつ代
   ソーダ水突然一部発光す        中内火星
   天皇の声澄みとほり発笑顔       香川純二
   かたつむり百まで生きてほめられず   山口紀子
   海開き少女羽化するごとくなり     武悠紀子 
   数だけの器残して四月尽        片桐静江
   裸木に屈託垂れてをりにけり       三拍子
   春泥や深き轍に日のかけら      塩田千代子
   窓際のヴィシソワーズのパセリかな   石田 香
   遠雷の地の底つたうオラショかな    加藤賢明
   裸婦像にみかづきのあり梅雨に入る 長谷川はるか  
   夏館夕陽に染まる古時計        関口 裕
   約束は無けれど土筆煮て喰はな     吉田豊麿
   感情をはがす真昼の春の雷       渡邊樹音
   春雷や兜太の叫びノーモアウォー    宮川 夏
   spring thunder-
            Tohta shouted
           ”No more war!”


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