2017年5月20日土曜日

岸本マチ子「うりずんのたてがみ青くあおく梳く」(『沖縄歳時記』より)・・



沖縄県現代俳句協会編『沖縄歳時記』(文學の森・2800円+税)、帯には、

 沖縄の季節感に即した歳時記 
 「うりずん」「若夏」など、沖縄地方特有の季語を含む2800の季語と、9000以上の例句を収録

★独特の民俗・文化ミニ解説(「屏風(ひんぷん)」「ニライカナイ」他)
★季語に新かな・旧かなのルビ★巻頭に季語の50音順総索引

とある。例をあげると、「うりずん・おれづみ・うりずむ・うりずみ」の説明には、

 琉球語の古語辞典『混効験集』によると「おれづんは(旧)二・三月麦の穂出るころ」とある。農作物の植え付けにほどよい雨が降るので大地の豊穣をもイメージさせる言葉であり、したがってうりずみは「潤(ウルオイ)積(ヅミ)が訛ったのではないかといわれている。

部立は春・夏・秋・冬・新年・無季。付録には、那覇の気象データ平年値/那覇と東京の平均気温/沖縄地方地図とともに・読みにくい地名などが掲載されている。

まるで、現代俳句協会70周年に合わせて、記念事業のひとつとして出版された印象すらもつ。たぶん数年を費やした労作だろう。

以下にその労作を編集した委員の一人一句を挙げておきたい。

  春空の真中にありて水になる    安谷屋之里恵
  後ろ手に通勤鞄花菜風       池田なお
  春ショール胸に匕首しのばせて  池宮照子
  揚雲雀電光石火の急降下      親泊仲眞
  葉桜の折れた伊江島激戦地     嘉陽 伸
  紙銭(うちかび)というあの世の銭の青火せり 岸本マチ子
  製糖の煙立ちたり春の潮      真喜志康陽
  虫出しの雷コーヒーはブラックで  宮里 晄



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