2018年12月8日土曜日

関悦史「寒き肉体右への恋を組織せり」(「祭演」no.54)・・



 自由句会誌「祭演」54号(ムニ工房)、副題に「Dionysosの宴」とある。招待席に関悦史と松下カロ。「祭演」前号53号の10句選と一句鑑賞は中村安伸。同人も号ごとに増えている。以下に一人一句を・・。

   恋愛可能冷たき石が相手なら    関 悦史
   すこし血のにじむことあり冬薔薇  松下カロ
   ヒヤシンス勘の鋭き女来る     成宮 颯
   約束のカフェで人待つ冬薔薇    西出知実
   人間がビルを出てくる楠若葉    服部修一
   白鳥の白脱ぐように舞い上がる   原島典子
   0からと言えど明日は雪らしい   服部近江
   遊廓の名残りの路地や酉様    藤方さくら
   月光の砂丘あなたの残像と     水口圭子
   芒原 ゆれはじめたら止まらない  森須 蘭
   父の忌は秋 糸のない糸電話    宮崎斗士
   湯豆腐にコンソメ少し入れてみる  湯本真也
   天高しじじばばじじばばじじばばじじ 東 國人
   しばらくは冬の菫になって居る   音羽和俊
   冬薔薇が散っても始祖鳥は龍だ   伊東裕起
   保護犬の眼に暮れ残る空の色    金子泉美
   狙い目は平目出鱈目猫の目     金子 嵩
   花あれば枕詞を二つ置く      北迫正男
   里芋のつるりとむけて別嬪さん   川崎果連
   兜虫わが網膜に軍(いくさ)あと  久遠 順
   ビリヤードポケットに春突き落す  高坂明良
   母の黙哀愁もあり秋の声     河内山裕見
   砂丘などあったはずだが鎌鼬    小林 実
   影遣い果たして帰る日向ぼこ   杉本青三郎
   なつかしく手の平も待つ紅落葉  鈴木あやめ
   日本書紀のすきまを埋めて白鳥来  高遠朱音
   電飾の冗舌に倦む冬木立      鈴木三山
   女子自愛せよ秋はひとりで生きている 寺口成美



★閑話休題・・・ 石井辰彦「神掛けて實も葉も赤き七竈(ナナカマド)心を見せむやまとことのは」(「扉のない鍵」2号より)・・・


  文藝別人誌「扉のない鍵」(TNK)、特集は「『ない』ということ」。ネーミングは「同人誌」ではなく「別人誌」である。編集人は江田浩司。ブログタイトルにした石井辰彦の歌は、その江田浩司の評論「石井辰彦論へ至るための第二章」よりの引用である。ここでは、俳人二名の作品のみを以下に挙げておこう。
  
  自動人形(オートマタ)ことごとく世へ斜立ちに  九堂夜想
  自動運転車標識視ずや晩夏光           堀田季何 



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