自由句会誌「祭演」54号(ムニ工房)、副題に「Dionysosの宴」とある。招待席に関悦史と松下カロ。「祭演」前号53号の10句選と一句鑑賞は中村安伸。同人も号ごとに増えている。以下に一人一句を・・。
恋愛可能冷たき石が相手なら 関 悦史
すこし血のにじむことあり冬薔薇 松下カロ
ヒヤシンス勘の鋭き女来る 成宮 颯
約束のカフェで人待つ冬薔薇 西出知実
人間がビルを出てくる楠若葉 服部修一
白鳥の白脱ぐように舞い上がる 原島典子
0からと言えど明日は雪らしい 服部近江
遊廓の名残りの路地や酉様 藤方さくら
月光の砂丘あなたの残像と 水口圭子
芒原 ゆれはじめたら止まらない 森須 蘭
父の忌は秋 糸のない糸電話 宮崎斗士
湯豆腐にコンソメ少し入れてみる 湯本真也
天高しじじばばじじばばじじばばじじ 東 國人
しばらくは冬の菫になって居る 音羽和俊
冬薔薇が散っても始祖鳥は龍だ 伊東裕起
保護犬の眼に暮れ残る空の色 金子泉美
狙い目は平目出鱈目猫の目 金子 嵩
花あれば枕詞を二つ置く 北迫正男
里芋のつるりとむけて別嬪さん 川崎果連
兜虫わが網膜に軍(いくさ)あと 久遠 順
ビリヤードポケットに春突き落す 高坂明良
母の黙哀愁もあり秋の声 河内山裕見
砂丘などあったはずだが鎌鼬 小林 実
影遣い果たして帰る日向ぼこ 杉本青三郎
なつかしく手の平も待つ紅落葉 鈴木あやめ
日本書紀のすきまを埋めて白鳥来 高遠朱音
電飾の冗舌に倦む冬木立 鈴木三山
女子自愛せよ秋はひとりで生きている 寺口成美
★閑話休題・・・ 石井辰彦「神掛けて實も葉も赤き七竈(ナナカマド)心を見せむやまとことのは」(「扉のない鍵」2号より)・・・
自動人形(オートマタ)ことごとく世へ斜立ちに 九堂夜想
自動運転車標識視ずや晩夏光 堀田季何
0 件のコメント:
コメントを投稿