2019年1月8日火曜日

桑田和子「春暁の草城句碑を濡らす雨」(『春暁』)・・

 

 桑田和子第一句集『春暁』(角川書店)、跋は宇多喜代子。それには、

 また、句集『春暁』の編集の方法も編年式ではなく、たまたま草城の初期句集である『花氷』『青芝』と同様、おおまかに年代区分した句を「春夏秋冬」にわけた方法をとっている。
 桑田和子さんの資質は、「青玄」で伊丹三樹彦ならではの旧態を抜けた新感覚を身につけながら、どこかで初期の草城の句境の感受を思わせるものがあり、草城・「青玄」・「暁」とつづく一本の線に繋がるものをみせている。

と言い、

 集中、俳句を「日記のように」書いているという気負いのない自覚をいいものだと思わせる句が多々あり、あらためて桑田和子さんの句への姿勢を自然でいいと思ったことだ。

と述べている。また、著者「あとがき」には、

 『春暁』は平成二年から平成三十年春までの三百三十一句を収めました。その間に「青玄」の終刊と、「暁」の創刊がありました。「暁」においては、その準備に関わり、発行所を務めました。また、哀しいことですが主人も見送りました。

とあった。ともあれ、以下にいくつかの句を挙げておこう。

  藤の花両手あければ身の軽し
  葦の角同じところで波くずれ
  烈震の瓦礫の下の仏の座
  雪の夜のめくれば声の出る絵本
  朝に日に寝かせ線香戻り寒
  午前長し午後なお永し蜷の道
  夫逝きてわれあるうつつ桐の花
  そくそくとそくそくそくと十二月
  諳んずる草城一句春隣
  寄せ墓の増えてゆく世や花の雲
  同じ方へ曲がる靴音敗戦忌
  一本の杭は日時計秋日和

  桑田和子(くわた・かずこ) 1940年、徳島県生まれ。


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