「花林花」VOL,14(花林花俳句会)、特集は「小林一茶」、「花林花の作家 その八」は金井銀井、「追悼・狩野敏也」。いずれも高澤晶子が健筆をふるっている。中に金井銀井の一句鑑賞があるが、鈴木光影は、「諦めの花あらば白曼珠沙華」を挙げて、その結びに、
(前略)かといって、このような銀井俳句に底流している諦めの思想は、虚無主義に陥るようなものではない。〈諦め〉は欠落を欠落として受容することであり、銀井はその言葉によって白曼珠沙華という花を咲かせ、形作る。世界への静かな慈しみ、共感覚が内蔵された俳句の眼が効いている。
と、記している。ともあれ、以下に本号より、一人一句を挙げておこう。
手を叩き歌い出したる春の母 高澤晶子
母の手のひと文字ひと文字冬苺 廣澤一枝
地球温暖化
北極の氷原白雨となりて降る 石田恭介
自転車にお節を積んで暮れる川 榎並潤子
歯噛みして泣かないでゐる原爆忌 金井銀井
妖鳥として翅八重(やえ)に紫木蓮 原詩夏至
少しづつみんなが変で金魚草 鈴木光影
明日もありと思ふ蛙の目借り時 島袋時子
ハレーションが白シャツ燃やす原爆忌 福田淑女
アルバムに剥がせぬ写真昭和の日 宮﨑 裕
蚊を打ちて駒飛散らす負将棋 杉山一陽
分からないからこそ自由へびいちご 岡田美幸
見上げれば空に映りしもみじの版画 内藤都望
撮影・中西ひろ美「けふかぎり茎立ちせむとのらぼう菜 」↑
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