2020年3月11日水曜日

金井銀井「猫はみな猫の恋の子撫でてやる」(「花林花」VOL.14)・・



 「花林花」VOL,14(花林花俳句会)、特集は「小林一茶」、「花林花の作家 その八」は金井銀井、「追悼・狩野敏也」。いずれも高澤晶子が健筆をふるっている。中に金井銀井の一句鑑賞があるが、鈴木光影は、「諦めの花あらば白曼珠沙華」を挙げて、その結びに、

  (前略)かといって、このような銀井俳句に底流している諦めの思想は、虚無主義に陥るようなものではない。〈諦め〉は欠落を欠落として受容することであり、銀井はその言葉によって白曼珠沙華という花を咲かせ、形作る。世界への静かな慈しみ、共感覚が内蔵された俳句の眼が効いている。

 と、記している。ともあれ、以下に本号より、一人一句を挙げておこう。

  手を叩き歌い出したる春の母      高澤晶子
  母の手のひと文字ひと文字冬苺     廣澤一枝
    地球温暖化
  北極の氷原白雨となりて降る      石田恭介
  自転車にお節を積んで暮れる川     榎並潤子
  歯噛みして泣かないでゐる原爆忌    金井銀井
  妖鳥として翅八重(やえ)に紫木蓮   原詩夏至
  少しづつみんなが変で金魚草      鈴木光影
  明日もありと思ふ蛙の目借り時     島袋時子
  ハレーションが白シャツ燃やす原爆忌  福田淑女
  アルバムに剥がせぬ写真昭和の日    宮﨑 裕
  蚊を打ちて駒飛散らす負将棋      杉山一陽
  分からないからこそ自由へびいちご   岡田美幸
  見上げれば空に映りしもみじの版画   内藤都望  

  

撮影・中西ひろ美「けふかぎり茎立ちせむとのらぼう菜 」↑

  
 

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