2021年7月24日土曜日

野間幸恵「地動説ろまんちっくが必要だ」(「Picnic」No.3)・・・


 

「Picnic」No.3(TARO^冠者)、巻頭言に野間幸恵「5・7・5を企む『Picnic』」が掲げられている。


俳句を書き出して、かなり早い時から言葉で景色を書くのではなく、言葉の景色を書くという意識になっていきました。それは言葉の関係だけに集中すると、575から異質な世界が現れたり、言葉が全く違う表情になるという、嘘のような偶然の積み重ねによります。

私にとって、575作品は言葉にリズムを与えることだったり、独自の喩を作り出せることだったり、虚構を虚構として示すことだったり、欲張りですが、それは定型というやわらかい椅子のせいだと思っています。


という。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


  裏打ちのちょっとずれてる春の月      木下真理子

  きさらぎのまえもうしろもあらそいに   あみこうへい

  アメリカ製のゴミ箱の蓋閉まらない     樋口由紀子 

  別の世へ身を傾けて祭笛           鈴木茂雄

  入り方がよく分からない骨密度        榊 陽子

  お天気と豆腐は西よりくずれけり       梶 真久

  蓮根を食べると穴の味がする         月波与生

  和を以って以下は省略夏落葉         岡村知昭

  みんな寝て中崎町の月あかり         妹尾 凛

  天と地とローマの柱かつぐかな       中村美津江

  蝉時雨木馬勝手に回り出す         木村オサム

  さいだあとか見事に抜ける武家屋敷      松井康子

  貼り紙は「しばらくドアを休みます」    広瀬ちえみ

  不老不死その大きさがわからない       石田展子

  きつつきへ方程式がほどけない        野間幸恵 



     撮影・鈴木純一「斯(カウ)ヤツテ戦争二ナル黄金虫」↑

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