2022年5月10日火曜日

鈴木節子「われが灰になる日の桜乱舞せよ」(「門」5月号)・・・


 
              「俳句界」3月号↑

 「門」5月号(門発行所)、「門」名誉主宰・鈴木節子の訃が届いた。つい先日、卒寿を迎えられ、お祝いをされたたばかりだった、という。それにしてもブログタイトルにした句「われが灰になる日桜乱舞せよ」は、彼女らしい予知だったかもしれない。愚生は、これまで、「門」の創刊主宰・鈴木鷹夫と夫人の鈴木節子には、いくつかの想い出がある。また、毎月の「門」誌のみならず、其角の小説をはじめ多くの著作を恵送にあずかった。先日も「俳句界」3月号(上掲写真)の「俳句は境涯の詩」特集で、偶然に見開きページで愚生と隣り合わせになったことで、便りをいただいていた。愚生の筆不精、怠惰のせいで、その返信を一日伸ばしにしていたのが悔やまれる。元気なご様子だったので、まさか訃を聞くとは思わなかったのだ。言葉もない。今はひたすら、ご冥福を祈るのみである。

 鈴木節子(すずき・せつこ)1932年4月29日~2022年5月8日、享年90。虚血性心疾患。葬儀は近親者のみで行われる、という。合掌。

 ともあれ、本誌本号より、以下に一人一句を挙げておきたい。


  万の忌日のおぼろ三月果つるかな    鈴木節子

  絶妙な浮橋この世のナミアゲハ    鳥居真里子

  死すあとも愚弟賢兄春の虹      野村東央留

  寄るほどにくすぐつたいぞ猫柳    小田島亮悦

  いつかわが柩寒萬月の黙        成田清子

  探梅の風くぐるとき目を閉づる     大隅徳保

  パソコンの遠隔操作鳥帰る       長浜 勤

  根こそぎの雪折にして逆しまに    石山ヨシエ

  なにかしら掴みさうなるシクラメン  梶本きくよ

  天秤の片下がりして狐の火       石丸和雄

  本音です鵙の喉赤黒い         村木節子

  音にしてもいちどふゆのはなわらび   島 雅子

  全身に青がたりない冬の川      中島悠美子



     芽夢野うのき「山のあなたの修羅をみつくし山法師」↑

0 件のコメント:

コメントを投稿