2018年1月4日木曜日

小山森生「枯蓮のほとりや逢へば即笑ひ」(「努」第141号)・・



「努(ゆめ)」第141号(努の会)、発行人・小山森生、編集人・西野久二郎。小山森生「ご挨拶」に、

 この度、『努の会』代表吉井幸子先生の急逝を受けまして、お役目を引き継がせていただくことになりました。(中略)
 昨年、『努』一五周年記念大会にお招きを受け、お会いした時には、立ち居振る舞いも、お声もお元気そうで安心していたのですが、まさかこんなに急にお亡くなりになるとは思ってもみませんでした。幹事様方から急逝のご連絡を受け、『努』の今後についてご相談いただいた時、当初は同門の他誌への合流を提案申し上げたのですが、すでに次号の原稿が集まっていることや、吉井先生が心血を注がれた『努』を絶やしたくないとのご意向を受けました。
 これは不躾ですが野球に喩えるなら。いわば救援投手の緊急登板ではないか、試合を途中で投げ出すわけにはいかない、投げられるなら投げるしかない、そんな気持ちで不肖を顧みずお引き受けし、微力を傾注する決心を致しました。

とあった。小山森生とは現代俳句協会の青年部で知り合った。彼は、愚生が青年部委員を辞したのちも、青年部に長く真摯に関わりをもち、よく尽くしていた。
 昨年11月末、「豈」忘年句会で久しぶりに会ったが、それが「豈」を辞して「努」に全力を注ぐという彼のけじめの句会へ参加だった。さもあろう、引かなければならない札もあるのだ。思えば岡井省二の「槐(かい)」時代からの同行だった。岡井省二を失ってからも16年が経ったのだ。
 ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。

  澄む水の滾(たぎ)ちて鷺を佇たしめき  小山森生
  達者にて時間の余る柿日和        小松祥子
  カーテンの大き膨らみ初嵐        奥野靖子
  瓦礫積み墳墓のかたち鰯雲       西野久二郎
  菓子の名は「こわれ久助」天高し     恩田布木
  仲秋や戦なき世の槍力          田中 稔
  食の秋母の作りし麹漬          安井和美
  門少し開けて僧待つ花柘榴        木下悦子
  鈴虫のぐぜり始めし風の色        木全富子
  星飛んで漆黒の山残りけり        岡本冬子
  秋澄めり終点の駅山に添ふ       大西佐代子
  新涼の枡に盛り上ぐ白子干し       高木美子
  秋立ちて去年の空蟬残りをり       速水如水



  

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