山内将史。この名を聞いてかつて永田耕衣「琴座」の同人だったことを知る人は今は少ないように思う。「琴座」も永田耕衣の死去により廃刊。たぶんその頃から、彼は「山猫郵便」を不定期で発行し続けている。掲出の句は、このほど[山猫郵便二百三十九号/二〇一四年十二月一日]のハガキのものである。
彼は童話を書いたり、ドラマの脚本を書いては応募しているらしい。
山内将史は愚生より少しばかり若いと思うが、ほとんど何も知らない。しかし、ハガキによる個人通信を毎号恵まれているので、その発信し発行し続ける意力には敬意を禁じ得ないのである。
今号の通信には以下のように記されている。
初雪やかけかヽりたる橋の上 松尾芭蕉
永遠に完成しない橋は、人の魂ににている。といっても、新大橋は完成するのだが、芭蕉も永遠に完成しない橋を見ていたような気がする。
イデアにかかっている橋の姿を。
わが学堂拭くや袋に雪つめて 安井浩司『宇宙開』
幼年時代より深い昔、私もそんなことをした記憶がある。聖なるものを、卑なるもの達が、寄って集まって磨き上げ、より輝かせているイメージが浮かぶけれど、そう書かれている訳ではない。宮沢賢治と安井浩司は掌に握る雪の痛さを知っている北国の詩人だ。
クチナシの実↑
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