2015年3月20日金曜日
林桂「反歌 母と / 父死後の八日目にして米を搗く」・・・
林桂第七句集『雪中父母』(鬣の会)は、扉にも「父母に捧ぐ」と記されたように、亡き父母に捧げられた句集である。亡き父母に捧げられてはいるが、元は父母生前に刊行を意図された句集であった。
「なにもかも間に合わなかった」(「あとがき」)のである。その「あとがき」によると、「本集は、二〇〇二年二月から二〇一四年一〇月までのほぼ十三年間に発表した二十編、百四十二句を纏めたものである。『黄昏の薔薇』『銅の時代』『銀の蟬』『風の國』『はのの絵本りょうの空』『ことのはひらひら』に続く第七句集である」。
とりわけ、肉親にかかわる句がそのテーマ別に編まれているのは、当初からの意識的な表現行為を句集にまとめてみせる林桂の生きようをよく現しているようにも思える。家族をふくめ一人一人の人との関係性をかけがえのないものして、生きてきた証でもあるように思う。
とかく、いい加減に生きてきた愚生の及ぶところではないのはまだしも、愚生のなしうるところではない。
句集には多行形式の句も一行形式の句もあるが、表記には総てルビがふされている。
いくつかを挙げたい(ルビを割愛して・・)。
反歌 母と
父死後の八日目にして米を搗く 桂
夏草とならざる
夢を
海の父
10人読んだら3人はわからないといい。2人は「すげえ!天才だ」といい、残り5人は
途中で寝てしまうだろう。いいのだ寝ても、前衛とはそういうものだからである。
齋藤美奈子「朝日新聞」
空蟬や詩人のマッチ箱の闇
春の空冬の帽子を紺色に
母に寝て
露けし
朝の
花擬宝珠
ユキヤナギ↑
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