尺八の伴奏で、故郷の真室川音頭を歌う佐藤氏↑
昨夕は佐藤獅子夫句集『海坂』(書肆麒麟)に出かけた。円錐の会とかつて「握手」(磯貝碧蹄館)の仲間の皆さんの内輪でのお祝い会らしく和やかに終始した。
澤好摩氏の計らいであろう。冒頭の祝辞は高橋龍氏。
装幀・装画の河口聖氏、そして、故・糸大八夫人荒井みづえ、栗林浩氏らにも久しぶりでお会いした。
会場は、四谷三丁目の東京ガス四谷クラブで行われたので、地下鉄で四谷駅から中央線乗換の折り、ちょっと寄り道をして、四谷から市ヶ谷への土手の桜を眺めた。桜もさることながら、一層、目を引いたのは、土手一面に咲いていた 俗称・花大根、諸葛菜の淡い紫色だった。著莪の花、菜の花も多くあった。
そういえば、ふた昔ほど前になろうか、八田木枯の「花筵有情」という花見の席が市ヶ谷を越えて飯田橋土手で毎年行われていたことがあったな、と、ふと脳裏をかすめた。三橋敏雄、松崎豊、中田世禰、青柳志解樹、亀田虎童子、沼尻己津子など、そこでさまざまな人に会ったのも懐かしい。
句集『海坂』栞に澤好摩が「童心忘じがたく」と題して、「故郷出羽の風土と、少年時代の様々な体験の蓄積がいきいきとしてあり、実にしばしば句に登場してくる。まさに童心忘じがたく、といった感じなのである」と、また、「若き頃には三橋敏雄氏と同じ船で航海に従事したこともあり、後には会社経営をされるなど、多彩な人生経験を持たれている」とも記されている。
句集名は、「海坂(うなさか)に帆船消えて卯波立つ」から。結びにいくつか愚生好みの句を挙げておこう。
おぼえたる言葉遊びを四月馬鹿 獅子夫
鬼瓦抱きて転がる大西日
太棹の一の糸より滝の音
日の盛り一つ打ちたる古時計
地吹雪や我だばひたすら石になる
木枯や湯舟に遠き濤の音
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