掲句は松本恭子16年ぶりの句集『花陰』(あざみエージェント)からの句。同時刊行のエッセイ集『ちぎれそうなりんごの皮の夜祭り』(あざみエージェント)。装画・題字なども松本恭子。
「あとがき」には「荘厳浄土賜わりし父の御前に捧げ、心からの哀悼としたい」とあった。句集名は、
一匹の蜥蜴花陰で泣くらしき 恭子
からの命名であろう。エッセイ集もまた「
尊き父母(ふも)の御前」に捧げられている。挿入されているアルバムをみると、父母は病弱と思われる松本恭子をよく支援していたと思われる。松本恭子にとってもある区切りのときを迎えているのかも知れない。
句集より、いくつか句を・・・
鬱に入る花弁をあかく重ねしも
日雷鏡のなかの大柱
蝶の木に持つてゆきたき涙あり
一切を宥して冬のさるすべり
かの時のみづい世界鳥死せり
家中の留守をひびかせ蝉の声
残菊やはげしきものを賜(はらわた)
に
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