2017年3月19日日曜日
高澤晶子「母記す平成十年梅漬ける」(「花林花」2017)・・
「花林花」2017(花林花俳句会・代表 高澤晶子)、鈴木六林男の弟子だった高澤晶子を中心とする年刊俳句誌。「編集後記」によると月刊「花林花百十九号」から「花林花」百三十号までを一冊に集成したものだという。旧「花曜」のメンバーと推測する。同人名簿によると13名、他に物故会員6名の名も記されてあった。月例句会の他に現代俳人研究で加藤郁乎、「花林花の作家 その五 榎並潤子自選百句2008~2015年」、くわえて鈴木六林男「オイデプスの眼玉がここに煮こぼれる」の一句についてなど、当該年度の会の活動が伺える。
ともあれ、一人一句を以下に、
聞こえるは父のしわぶき母の歌 高澤晶子
白守宮ジュラ紀の匂うこともあり 廣澤一枝
走梅雨またあらわれる既視の街 石田恭介
その笑みは僕を溶かして春の水 北山 星
朝顔の門扉に迫る泥の川 榎並潤子
大病院裏の静謐水仙花 金井銀井
古里をかく恋ふと啼く閑古鳥 木津川珠枝
「次、終点金木犀が薫ります」 狩野敏也
春愁にゐて王国の真昼かな 原詩夏至
幽霊にしては日傘をさしてをる 鈴木光影
螢狩亡き兄も居る柳瀬川 島袋時子
秋雨に飽きて「たなばた」くちづさむ 福田淑女
風走り崖(はけ)にキツネノカミソリ来(く) 宮﨑 裕
*閑話休題
都心に出る用事があり、この機会を逃してはチャンスが無いと思い、「桜 モノクロームで愛でる」展(リコーイメージングスクエア銀座 ギャラリーA.W.P 三愛ドリームセンター ~3月26日(日)まで。500円)を観た。愚生の友人の志鎌猛をふくむ4名(他は榎本敏雄、織作峰子、テラウチマサト)のプラチナプリントでの写真展だ。志鎌猛の便りには、日本では4年ぶりの展覧会で、この「展覧会には、私が生まれ育った武蔵野吉祥寺の井の頭公園と、目下の仕事場からほど近い山梨県身延山で出合った桜の、プラチナプリント6点を出展いたします」とあった。
いつも思うのだが、静謐ななかにも生命の蠢きが感じられる作品ばかりだ。
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