「Picnic」No.3(TARO^冠者)、巻頭言に野間幸恵「5・7・5を企む『Picnic』」が掲げられている。
俳句を書き出して、かなり早い時から言葉で景色を書くのではなく、言葉の景色を書くという意識になっていきました。それは言葉の関係だけに集中すると、575から異質な世界が現れたり、言葉が全く違う表情になるという、嘘のような偶然の積み重ねによります。
私にとって、575作品は言葉にリズムを与えることだったり、独自の喩を作り出せることだったり、虚構を虚構として示すことだったり、欲張りですが、それは定型というやわらかい椅子のせいだと思っています。
という。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。
裏打ちのちょっとずれてる春の月 木下真理子
きさらぎのまえもうしろもあらそいに あみこうへい
アメリカ製のゴミ箱の蓋閉まらない 樋口由紀子
別の世へ身を傾けて祭笛 鈴木茂雄
入り方がよく分からない骨密度 榊 陽子
お天気と豆腐は西よりくずれけり 梶 真久
蓮根を食べると穴の味がする 月波与生
和を以って以下は省略夏落葉 岡村知昭
みんな寝て中崎町の月あかり 妹尾 凛
天と地とローマの柱かつぐかな 中村美津江
蝉時雨木馬勝手に回り出す 木村オサム
さいだあとか見事に抜ける武家屋敷 松井康子
貼り紙は「しばらくドアを休みます」 広瀬ちえみ
不老不死その大きさがわからない 石田展子
きつつきへ方程式がほどけない 野間幸恵
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