ペガサス」第13号(代表・羽村美和子)、本誌で、いつも読んでいるページに、檜垣梧樓のミニエッセイ「胡桃という酒場」(六)がある。その嶋野国夫についての随想中、「奥様の『水を待つ』で終っていた」の部分、「しばしば水を欲しがったが水を飲めるわけではない。舌を濡らす程度だが・・」というのがあった。医師も言っていたが、水を飲むというのは、末期の患者には、なかなか大変で、むしろゼリー状や小さな氷のほうが喉を通る。従って、じじつ、小さな氷片や、水分補給の為にOSー1やジュース、など寒天にして食べてもらうようにする。そうすると不思議に喉を通る。ブログタイトルにした句「死に水の舌貝に似る小六月」は、そのエッセイの末尾に添えられた句である。
もうひとつの興味深い記事「雑考つれづれ」は、東國人「原民喜の俳句①」。愚生は昔、原民喜を下敷きにして、「人間はあきらめている夏の花」という句を作ったことがあるが、先年は、梯久美子の『原民喜ー死と愛と孤独の肖像』(岩波新書)が出るなど、いくぶんかは広く知られるようになっているのではないだろうか。
ともあれ、以下に、本誌5周年記念競泳「開」の各同人の句を紹介しておこう(レイアウトが乱れているが、愚生のパソコン技術では正しようがない。読みにくさは、ご了承を・・・)。
五穀米しみじみ甘き開戦日 きなこ
未開の大地ムーンウオークを取り入れて 篠田京子
春愁の我を背開きする十指 瀬戸優理子
眼を開ける古都の五重の塔霞む 田中 薫
木の根開くペガサスに二十七士在り 徳吉洋二郎
風光る門は左右に開かれて 中村冬美
神話の扉開きそう春の山彦 羽村美和子
パンドラの匣かもしれぬ木の根開く 原田昌克
開けごまペガサス寒の闇へ翔べ 檜垣梧樓
人声を吸って牡丹の開きけり 水口圭子
ペガサスの声の北窓を開く 陸野良美
二度生きて今なら出来そう梅開く 浅野文子
開運招福パカッと鯖缶 東 國人
雪明かり「ペガサス」めざし開けゆく 石井恭平
いつたい何度開戦を聞く余寒 石井美髯
開会のファンファーレめく遠花火 伊藤左知子
金目鯛のはみだす開き網の上 伊与田すみ
くさめして非常口開く右脳かな 大川竜水
北窓を開けば遠いラクダの目 岡田淑子
撮影・芽夢野うのき「はつなつのはなもうなずきつつ揺れる」↑
0 件のコメント:
コメントを投稿