2022年11月1日火曜日

井口時男「頬杖や銀河千年石の思惟」(「鹿首」第15号より)・・


   「鹿首」第15号(鹿首発行所)、EM(研生英午)の編集後記に、


 三年間の休刊の後に、ようやく「鹿首」を復刊出来ました。(中略)

 「鹿首」第15号の特集は「記憶のうつし」。「うつし」は、「写し」と「映し」さらには「移し」も目論んでいるつもりです。記憶は実在の世界と深い関係をもっていますが、夢の記憶というのもあるかもしれません。しかし、それも実在の世界での願望や希望が変容しているのではないでしょうか。(中略)

 この号ではそれぞれの書き手の問題意識に沿って自由に「記憶のうつし」について論じていただいてます。


  とあった。特集の論考は、小林弘明「カフカにおける伝承」、天草季紅「見えない国への旅」ー堆積し迷走する記憶の表現をめぐって」、中村茜「『ひかりごけ』論 第三章 逆説としてのカニバリズム」。「豈」同人の冨岡和秀は散文詩「浮遊するモナドの声」を寄稿している。ここでは、アトランダムに、俳句、川柳、短歌のいくつかを紹介しておきたい。


  つぶつぶのひかりをすくひまたこぼす    くまりしほ

  禁酒法縛るしょっぴく船燃やす        江里昭彦

  根開きやマタギは帰るマタギ村        井口時男

  飛んで来た首が根付いて花の森        内田正美

  夏落花鬼の祭りを飾るらし          奥原蘇丹

  向こうからすたすたと来て「ウレイです」  広瀬ちえみ

  淡墨桜枝八方に夏の影             翁 譲

  群舞より離れて光る蛍あり           星 衛

  

  くれなゐに染むる海の東方(ひがしかた)ニライの崖に風葬あまた  内藤隆子

  無限の時間を引き受けるものなにもなくきみがあらゆる廃墟のやうだ 森島章人 

  ひとつの巣穴にひとつのからだハチノコはかべに寂しきみみよせあつて 天草季紅

  沐浴を終へてしづかに真夜を待つ夢のなかにて夢むすぶべし     川田 茂



撮影・芽夢野うのき「もみじるりそうみんながまっている首かしげ」↑

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