2022年11月28日月曜日

相原左義長「爆心地で汗する無数の黙(もだ)に合ひぬ」(「里」第205号/2022年11月号より)・・

 


 「里」第205号・2022年11月号(里俳句会/発売・邑書林)、総力特集「Uー50が読む句集『広島』」、奥付に小さく「小誌は第七巻第百号で終刊いたします。残り八十五号」とあるが、月刊なので、まだ7年はある。総力特集の中扉の冒頭には、


 今年の原爆の日を前に、大ニュースが走った。当時の編集員、結城一雄さん宅で、原爆合同句集『広島』(1955年8月6日刊)が500冊見つかった!

草田男・鬼房・赤黄男・三鬼・兜太・民喜・重信・六林男・湘子・綾子・一石路・・・そして、無名の、また初めて詠んだ人たちの原爆俳句群。545名、1521句。原爆投下から77年、句集刊行から67年、この句集は、21世紀の私たちに何を伝えようとしているのか。


  とあった。因みに、総力特集の執筆者は、特別寄稿・福田葉子「思い出す一齣」、「U-50が読む句集」には、堀田季何「原爆俳句の当事者性と価値」、浅川芳直「証言・記録として『広島』を読む」、川嶋ぱんだ「百句選附随想」。その中の川嶋ぱんだは、


 『広島』に収めらている作品は、原爆の光に晒された人、原爆投下直後の広島を見た人、身近な人が原爆の被害に遭った人、原爆以後の広島に思いを馳せ平和を祈った人。さまざまな視点から詠まれた俳句が並んでいます。

 この句集を編むために全国から一万二千三句が集まったそうです。句集のなかには俳句だけではなく、当時の状況を克明に記した短文を寄せている作者もいます。そうして選ばれた千五百二十一句からなる句集『広島』が刊行されたのは、昭和三十年。翌年の『経済白書』には、「もはや戦後ではない」という私でも知っているような、有名な一節が記されます。(中略)

 未来の平和のために編まれた句集『広島』が刊行されて六十七年。いまロシアが核兵器を使用するかもしれないと囁かれています。その状況下で、句集『広島』が時を超えて出現したのは必然としか言いようがありません。いまこの句集を読み終えて、日本から遠く離れたウクライナで核兵器が使用されないことを、切に願ってやみません。


 と記されている。また、各人1ページのエッセイ「わたしの『広島』」には、大塚凱「黙って」、黒岩徳将「鑑賞の範囲」、佐々木紺「深く潜る」、中山奈々「距離」、野住朋可「それでも読む」、堀切克洋「言語と原爆」、小暮沙優「句集『広島』を読んで」、辻一郎「AI俳句・ドラえもん・広島」、野名紅里「句集『広島』のその後を生きる」、早川徹「人間の本質とは」、鳳彩「戦没悼歌(十二首)」、松本薬夏「その理由、あるいは衝動」の面々。

 ともあれ、本誌に掲載された句より、いくつかを挙げておこう。


  屍の中の吾子の屍を護り汗だになし     和多野石丈子

  廃墟すぎて蜻蛉の群を眺めやる         原 民喜

  怒りの詩沼は氷りて厚さ増す          佐藤鬼房

  音楽を降らしめよ夥しき蝶に          藤田湘子

  広島や卵食ふ時口ひらく            西東三鬼

  時ならぬ木の葉髪とて嘲はれし         鳴澤富女

  被爆地の夕焼口の中まで受く          新井哲囚

  歴史説く老教授原子病にて咳く        板倉しげる

  手もよ足もよ瓦礫に血噴き黒雨ふる       田原千暉

  毛糸編む気力なし「原爆展見た」のみ     中村草田男

  原爆地をたやすくはうたう気になれないでいる 吉岡禅寺洞

  虚空の掌 灰降らせてる 青い楕円       坂口涯子

  

  杭のごとく

  墓

  たちならび

  打ちこまれ                 高柳重信


  みどり児は乳房を垂るる血を吸へり      田中菊玻

  泥の中に人間積まれ 日の出前        若井三晴  

  屍体裏返す力あり母探す少女に        柴田杜代

  生きながら腐りゆく身を蛆に任す      釜我半夜月

  人ゆくゆゑ行かねばならぬ皮ひきずり     小崎碇人

  ケロイドの俺は黙つて生きている       岡山弘親

  目おほはず見ねばならぬもの原爆図      細見綾子

  原爆忌の黒光る蟻働く蟻           立岩利夫

  死ぬまでケロイドルーズベルト夫人目を上げず 島津 亮



★‥閑話休題・・第24回「朝鮮文化とふれあうつどい」(於:府中公園)・・



            

 昨日、11月17日(日)は、府中市中央公園に於て、第24回「朝鮮文化とふれあうつどい」(主催 チマ・チョゴリ友の会)が開催された。愚生は、午前中、中央文化センターの廃油回収業務の担当日であったので、ついでと言っては恐縮だが、業務が終わった後、隣接する府中市中央公園に行き、朝鮮学校の生徒たちの演奏や舞踏、またテコンドーの演武などを見学、フリーマーケットで、靴、杖などを衝動買いした。いくつかの写真を上に掲げておこう。



   撮影・中西ひろ美「つやつやの汝に触れむとすれば落つ」↑

0 件のコメント:

コメントを投稿