第42回・メール×郵便切手「ことごと句会」(2022年10月22日付け)、雑詠3句+兼題「微」1句。以下に一人一句と寸評を紹介しておこう。
秋刀魚の背地球の今が描いてある 江良純雄
穴惑あんがい真面目に生きている らふ亜沙弥
秋雲の彼方に未踏の句の懸かる 渡辺信子
秋海棠ゆれて夙夜の雨に染む 渡邊樹音
崖っぷち皆んなが其処に冬隣 武藤 幹
微塵子の丸い煩悩を覗く 金田一剛
微笑に何となくの秋風 照井三余
敗戦のパンプキン弾南瓜ニル 杦森松一
もう少し生きてみようか夕日中 大井恒行
【寸評】
・「夜長し短波ラジオの微調整」ー隣の7番句、松一「懐かしきラジオのつまみ微調整」は、年齢から推測するとなんとなく短波放送じゃないかと伝わりますが、樹音句「夜長し・・」は明らかに明快だ。ぼくの少年時代は短波放送でビートルズにチャネルを合わせていた。この2つの句は昭和をほうふつとさせる。どうして夜の電波がクリアに聴こえるか分かりますか?(剛)。
・「秋刀魚の背・・」ー今年の秋刀魚ったら、ギスギスに痩せちゃって「どうしたの?」と尋ねるとまあまあ長々と色々語った。なるほど、、君の背中おかしいよと言いながら美味しくいただいた(亜沙弥)。
・「穴惑い・・」ーイヤーその通りです。迷う事は真面目な証拠!「穴惑」からの展開が見事!!(幹)。
・「秋雲の・・」ー未踏の句、常に模索して前を向いて憧れて、秋雲が感慨深く、良いです(樹音)。
・「秋海棠・・」ーそれぞれの言葉に味わいがあり、雨の日も好きになりそうです(松一)。
・「崖っぷち・・」ー「皆で其処に立てば怖くない」イヤこわいでしょう!(信子)。
・「微塵子の・・」ーウン!実に意味深である。特選を最後まで迷わせた句だ!(幹)。
・「微笑に・・」ー下句「何となくの秋風」のフレーズの「秋」は、当然「厭き」にかけた心変わりを暗示していよう。微笑みは微妙ならずや秋の風、だ。〈秋風は身をわけてしも吹かなくに・・」(恒行)。
・「敗戦の・・」ー「パンプキン爆弾」は原爆投下の訓練、データ収集のために用いられた模擬爆弾のこと。ずんぐりした黄色い色からパンプキンと言われたという。日本各地の空襲に紛れて49発が落され、400人以上が犠牲になったと伝えられている。従って、そのずんぐりした形から、下五「南瓜ニル」は当然なのだが、付き過ぎの感は否めない。下五を別の言葉に斡旋すれば、この句、飛躍的に良くなると思う(恒行)。
・「もう少し・・」ー黄昏に思う人生の黄昏。夕日から渡された未練を抱いて、明日へ!(純雄)。
撮影・芽夢野うのき「曇天のなかの日月秋夕焼」↑
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