2015年7月25日土曜日

「豈」創刊35周年(今月のハイライト「俳句四季」)・・・



「今月のハイライト」(俳句四季8月号)に発行人・筑紫磐井は以下のように記している

1980年6月、攝津幸彦ら十六人の同人によって「豈」は創刊された。それ以前、攝津は、関西で「あばんせ」「日時計」「黄金海岸」という雑誌に参加していたが、離合集散の末、攝津を編集発行人として創刊された。ただ攝津の性格もあり忘れたころ刊行されるという状況が続いた。一時は三年に一度しか出ないあり様であった。こうした体制の見直しは専門の編集スタッフを置くことから始まり、名古屋の中烏健二、その後東京の筑紫磐井が編集人tなり定期刊行に向けて努めた。順調な刊行がしばらく続いたのだが、そうした折、中心人物である攝津が1996年肝炎で急逝してしまった。「豈」の続刊の方針を決め、大井恒行、その後筑紫が発行人に、筑紫、高山れおな、そして大井が編集人という体制でめまぐるしく代わり、今日に至っている。

以下、「俳句四季」掲載句より・・

    阿部定に時雨花やぐ昭和かな                筑紫磐井
    わが句あり秋の素足に似てはづかし            池田澄子
    ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ・列島されど愛国      大井恒行
    たんぽぽが死にたいと云う夕暮れだ            大本義幸
    落花生投げつけられる司会かな               岡村知昭
    石抛る石は吾なり天の川                   恩田侑布子
    体内模型のビル街吹きさらし                 川名つぎお
    初景色廃墟廃屋廃炉塵                    北川美美
    唐門前修羅お脇ゆくごんぎつね              救仁郷由美子
    打水のそこより竜の背骨かな                五島髙資
    羊が大きな夕焼のモロッコ                  小湊こぎく
    寸鐵も帯びず真夏の花ならば                小山森生
    唐橋の雨あがりけり夏燕                   堺谷真人
    
    いまいちど
    なんぢやもんぢやの
    奇をめぐる               酒巻英一郎

   蜥蜴の尾濡れた真昼が残される               杉本青三郎
   「母さん」と我を呼ぶなり蛇の衣                関 悦史
   古すだれ荷風の女ゐるやうな                 妹尾 健
   実南天みちかけみるみるゆうらしあ             高橋比呂子
   ざの ざこ の ぶんがく なのだ それで いい のだ  高山れおな
   あの世とは爽籟のなか鳥が鳴く                秦 夕美
   十六夜の影歩き出す宇治拾遺                 羽村美和子
   肉球に踏まれし領土の踏青や                 早瀬恵子
   空爆の昔や今や柘榴喰ぶ                   福田葉子
   大寒や明菜のこゑを耳の底                  藤原龍一郎
   ものおもうネコとならぼう秋の暮                堀本 吟
   しおり紐はさみ夜長をとじにけり                亘 余世夫
  


                                 モミジアオイ↑
                               
    

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