2018年11月15日木曜日

村井康司「小田原の風涼しくて蓮の花」(「鏡」第27号より)・・


 
 「鏡」第27号(鏡発行所・寺澤一雄)、表紙デザイン=佐藤りえとあり、明後日開催の「兜太と未来俳句のための研究フォーラム」(於:津田軸大学千駄ヶ谷キャンパスSA207号教室・定員90名)の司会を彼女が務める予定である。「WEP俳句通信」106号で坪内稔典が、
 
  (前略)もちろん、存在者と呼んで兜太を担ぐ俳人などがいたし、その人々に兜太ものっていた。担ぐ人も担がれる兜太もだめだと思った。そのだめな兜太は死後の現在、〈兜太〉として相変わらず人気のようだ。兜太の名をタイトルにした雑誌も近くでるらしい。

 と述べているが、そのダメ俳人の一人の愚生は、その会の片棒をかつぐので参加することになっている(だめ俳人と呼ばれる間が花かも・・)。
 話題を元にもどして、「鏡」表紙裏の連載「一句憧憬」は28回、今回の句は「鬼房は岩の仲間ぞ霧しまき 八田木枯」。誌中の句評も寺澤一雄で同人誌ながらも、誌の構成は主宰もようの健筆をふるっている。ともあれ、以下に「鏡」本号から一人一句を以下に挙げておきたい。
  
   ぢき消える火を捧げ持つ涼夜かな    村井康司
   散歩する犬を団扇扇ぎつつ       佐藤文香
   九月一日北へ行くヘリコプター     谷 雅子
   虹を背にシェーカーをふる男たち   笹木くろえ
   百年を黴ざる家のこゑしたり      八田夕刈
   着信のそのまま潜る茅の輪かな     波田野令
   はや九月一日二日三日かな      三島ゆかり
   鵙高音媚薬を計る竿秤         森山保子
   昼寝する猫しかをらぬ理髪店      井松悦子
   少年に十代永し鮎の川         佐川盟子
   辻々に違ふコンビニ梅雨明ける     大上朝美
   不老不死鰻を食べたくらゐでは     寺澤一雄




★閑話休題・・・「ユプシロン」第1号 ↑・・・


 月に一度四人で俳句を持ち寄って句会をやり、半日を過ごしているという。それらを一度まとめようと思い立ったのだとか。「あとがき」には、

 タイトルをつけて五十句、という以外には何の制約もなく、それぞれが自由にまとめてみたのがこの冊子です。

 とある。以下に一人二句を挙げておこう。

   細部までシンメトリーに揚羽蝶     岡田由季
   ばらばらの向きにペンギン立つ日永
   登ってはならぬ梯子や春の闇     小林かんな
   するすると枯蔓の出る発券機  
   給油所の煌々とあり冬銀河       仲田陽子
   人形の片目が閉じず桃の花  
   春の水永久機関の管の中        中田美子
   譜面より水鶏の声を取り出せり



       
              撮影・葛城綾呂 夜明けの欅↑

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