2021年10月9日土曜日

藤田踏青「脳の中二階にも獏が見つからない」(「でんでん虫の会」句会報100号『終刊号』)・・


  「でんでん虫の会」句会報100号・終刊号(編集・発行人 藤田踏青)、「終刊の辞」に、


「でんでん虫の会」は故・森田栄一(現代川柳)と藤田踏青(自由律俳句)との発起により、平成十七年に誕生いたしました。その企画・コンセプトは(俳句・川柳・一行詩のコラボレーヨンを目指した短詩型交流会)とし、相互の作品鑑賞を中心とし、作品欄では雑詠に加え、森田栄一提案の〈イメージ吟〉を第四号から始めました。(中略)

「世界的にのろさのシンボルである蝸牛(でんでん虫)を何故選んだのだろう。まったく何も考えずに、藤田・森田の田田(でんでん)でいいじゃないか、と軽く即決の命名である。(中略)」。

 発足から一年後に森田栄一の急逝という一大困難を乗り越え、今年で十七年目を迎えることができましたが、「でんでん虫の会」は百号をもって終刊することになりました。(中略)

 私としては、従来から刊行途中での急な廃刊は避けたいと考えており、この百号で終刊することに致しました。終刊に関しましては、事前に会員へのアンケートを実施し、色々なご意見を参考に、編集室として決断に至った次第です。百号での終刊につきましては、何ら悔いもなく、やりきったという気持ちが正直なところです。遅刊が一度も無かったことも自負の一つでもあります。それには編集・発行の第一の協力者の妻の助力があったからこそで、妻には感謝あるのみ。


 とあった。本号には、会員作品とエッセイ、さらに藤田踏青による「万華鏡」(珠玉の言葉)と題する箴言の採録,書評「森さかえ『木星は遠すぎる』」、「でんでん虫の会・略史」(1号~100号)など充実の内容である。これまでの奮闘に敬意を表したい。ともあれ、以下に一人一句挙げておこう。


  誰も居ない枯野は木馬のもの         久保田寿界  

  愛の行方を見届けたいが洗濯がある       小山貴子

  何をしてもいいという自由を寝ころんでいる   久光良一

  ぼくが止まると美術館が歩く          府川素床

  「破」「非」「不」が罷り通り空は青い    藤田美登里

  夢まぼろしの翼は明日へたたまずに      吉田久美子

  極楽へ一度だけ乗ってみたいな花筏       若杉縷縷

  そこまで行けば何とかなると苦よもぎ      藤田踏青 



       撮影・鈴木純一「蟷螂の枯るるにあまる緑かな」↑

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