2020年5月14日木曜日

渡邉樹音「木蓮のひとひらマスクになら足る」(「第12回ことごと句会」)・・




 「ことごと句会」(第12回)、とりあえず、4月18日(土)の開催ということになっているが、愚生ら、おとなしき民草は散歩にも出ず、ましてや句会などという密なる会合などするはずもなく、善良なる自粛のもと、ひたすら、文通のみによって、通信句会などという名に甘んじての所業である。かつ、その郵便物も、雨は避けるものの、日に晒し、ウイルスなるものは、紙上にては、一日で死滅すると言われたことを固く信じて、そのまま、最低一日は外に放置、もしくは、郵便箱に入れたままで、翌日に取り出し、かつ消毒用アルコールをしめした紙で、表面を拭き取り、開封前には泡石鹸で手指をよく洗ってようやく、皆さんの句稿にまみえるという次第だったのである。
 かくも用心深くしているに、老齢のせまる身なれば、ウイルスに感染するのもイヤだから、と言いつつ、むしろ、筋力の衰えを日々痛感し、足許こころもとなく、歩けなくなる有様で、やむなく、屋内にて、伝授された太極拳の片足立ちなどをして、その場その場をしのいでいる有様・・・。それでも、それでも、良い句にめぐり会えればという一心、至福のときを得られるにちがいない、とばかり、希望の病にとりつかれている始末である。・・・愚生の下らぬ愚痴、ご託はともあれ、以下に一人一句を挙げて、いささの慰めとしておきたい。投句は3句+兼題「駅」一句、の合計句。

   春愁珈琲カップも落日も        渡邉樹音
   爪立ての猫春陽をたぐる示唆      照井三余
   君を待つ終着駅の初音かな       武藤 幹
   右利きの右指を刺す春の棘       金田一剛
   血まみれの鳩よお前は父を棄て     大井恒行

 次回の投句締め切りは、5月23日(土)、3句+兼題1句「綿」=4句。



撮影・芽夢野うのき「どこか似ている水音と月見草」↑

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