2021年2月14日日曜日

森澤程「ゆっくりと鶯餅をひっぱる手」(「ちょっと立ちどまって」)・・・

 

「ちょっと立ちどまって」2021・2(津髙里永子・森澤程)、津髙里永子と森澤程二人のハガキ通信である。挨拶には、


 はじめまして、私たち二人のつぶやき、ささやき、そして時にはゆらめきの句とちょっとおつきあいください。よろしくお願いします。


 とあった。読み終わって、昨夜、寝ようとしたら、10年前と同じように、福島沖からの地震の揺れが2分程続いた。東京武蔵野は深度4。この度は、あれほどの大事にならずに済んでよかった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。


  一緒に死なうなどと焼蛤ひらく     津髙里永子

  岩肌を滑るほかなし春入日        森澤 程


   

★閑話休題・・・伊藤希眸「寒林の寒のしづもり生きてをり」(「現代俳句」2月号より)・・・


 「現代俳句」2月号(現代俳句協会)の巻頭エッセイは仲寒蟬「蔵書は必要か」、特別エッセイは山﨑十生「私の中の寺山修司/自伝的わが俳句出発の記」。それには十生になる前の十死生時代のことが多く語れている。寺山修司には「山﨑十死生くんが句集『上映中』を出版/《現代生命派》のひとりであり。昨年の本誌〈俳句欄〉で活躍した山﨑くんの第三句集だ」などと評されているのは、愚生が「豈」で、十死生(十生)に出会う以前のことを伺い知ることができた。山﨑十生自身にしても、かくも綿密に初学・少年時代のことを詳細に明らかにしたのは初めてではなかろうか。

 閑話休題のタイトルに挙げた伊藤希眸の「寒林の・・・」の句は、グラビア頁「百景共吟」から。ほかにも「豈」同人夏木久が「今、伝えたい俳句 残したい俳句/11月号 特別作品より」を執筆している。ともあれ、以下には、「自伝的わが俳句出発の記」から、三人の句を挙げておこう。


   黒生まれたちまち白が包囲する     関口比良男

   石榴の実裂けて激しき海の暮れ     山﨑十死生(「蛍雪時代」より)

   ラグビーの頬傷ほてる海見ては      寺山修司



                 撮影・鈴木純一↑

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