2021年2月22日月曜日

荒木甫「目に見える黄砂見えない放射線」(『遍舟』)・・・

  


 荒木甫第一句集『遍舟』(ウエップ)、帯文は大石悦子。それには、


  国といふ大いなる闇税申告

荒木 甫さんは同郷の一年先輩である。小中高を通して殆どが同じ市内の学校に通った。中学二年のとき私は生徒会の書記になったが、そのときの会長が三年生の荒木甫さんだった。まさか俳人として再会するとは思わなかったが、ご縁を思わないではいられない。


 とあった。序は髙橋道子、その中に、


(前略)甫さんの句には甘いところ、華やいだ表現、手慣れた詩語で適当にあしらうようなところが、まず無い。少年時代に敗戦日を体験し、大学卒業後は長く企業に勤めた甫さんは、その間に培った批評精神を根底に、万象に「俳」をもとめているように思われる。


 とある。また、著者「あとがき」には、


 (前略)「鴫」の信条は一言でいえば「人間の総量としての俳句」である。「いのちをほめ、かなしびを表白し、自然の中に生きる人間の総量として俳句をめざす」と師は諭されている。


 師とは、最初の師であった伊藤白潮である。また、集名『遍舟(へんしゅう)』の由来については、


 句集名、章の題は良寛の最晩年の詩とその代表的な歌から採った。

     壮年會極佳妙地

     老来頻動遍舟興

     やまかげの岩間をつたふ苔水の

           かすかに我はすみわたるかも


 と記されている。ともあれ、愚生好みに偏するが、いくつかの句を以下に挙げておこう。


    憂国のおまへとおれと生ビール        甫

    冷酒や六つむかしの労働歌

    八月の雨国民に荒々し

    勝負ごと断る八月十五日

    冬至湯や九竅およそ不憫なり

       弟

    燗熱うせよ百日の余命とぞ

    ゴールデンウイークそもそも今日は何の日だ

       バンザイ・クリフ

    小さきは子の墓碑ならむ鳳凰木

               鳳凰木=現地でサイパン桜

    ものをいふまへに目つむる原爆忌

    さうか 君 原爆胎児か 孫 居るか

    花の下行く我輩は猫である

    死ぬるとは生きて来しこと栗の花

    きのふけふあしたもきつと冷奴

    柿たわわ「百年生きてしもうたわ」

    湯たんぽの一夜なじみて水抜かる

    御慶かな昭和平成あと余生

 

 荒木甫(あらき・はじめ) 1937(昭和12)年、京都府舞鶴市生まれ。



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1、府中市生涯学習センターのウェブサイトからの応募。

2,往復はがきに必要事項を記入し郵送。

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府中市生涯学習センター

  183-0051 府中市浅間町1-7 

  電話042-336ー5700



       芽夢野うのき「まだ秘めていますか芯の緋のこころ」↑ 

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