荒木甫第一句集『遍舟』(ウエップ)、帯文は大石悦子。それには、
国といふ大いなる闇税申告
荒木 甫さんは同郷の一年先輩である。小中高を通して殆どが同じ市内の学校に通った。中学二年のとき私は生徒会の書記になったが、そのときの会長が三年生の荒木甫さんだった。まさか俳人として再会するとは思わなかったが、ご縁を思わないではいられない。
とあった。序は髙橋道子、その中に、
(前略)甫さんの句には甘いところ、華やいだ表現、手慣れた詩語で適当にあしらうようなところが、まず無い。少年時代に敗戦日を体験し、大学卒業後は長く企業に勤めた甫さんは、その間に培った批評精神を根底に、万象に「俳」をもとめているように思われる。
とある。また、著者「あとがき」には、
(前略)「鴫」の信条は一言でいえば「人間の総量としての俳句」である。「いのちをほめ、かなしびを表白し、自然の中に生きる人間の総量として俳句をめざす」と師は諭されている。
師とは、最初の師であった伊藤白潮である。また、集名『遍舟(へんしゅう)』の由来については、
句集名、章の題は良寛の最晩年の詩とその代表的な歌から採った。
壮年會極佳妙地
老来頻動遍舟興
やまかげの岩間をつたふ苔水の
かすかに我はすみわたるかも
と記されている。ともあれ、愚生好みに偏するが、いくつかの句を以下に挙げておこう。
憂国のおまへとおれと生ビール 甫
冷酒や六つむかしの労働歌
八月の雨国民に荒々し
勝負ごと断る八月十五日
冬至湯や九竅およそ不憫なり
弟
燗熱うせよ百日の余命とぞ
ゴールデンウイークそもそも今日は何の日だ
バンザイ・クリフ
小さきは子の墓碑ならむ鳳凰木
鳳凰木=現地でサイパン桜
ものをいふまへに目つむる原爆忌
さうか 君 原爆胎児か 孫 居るか
花の下行く我輩は猫である
死ぬるとは生きて来しこと栗の花
きのふけふあしたもきつと冷奴
柿たわわ「百年生きてしもうたわ」
湯たんぽの一夜なじみて水抜かる
御慶かな昭和平成あと余生
荒木甫(あらき・はじめ) 1937(昭和12)年、京都府舞鶴市生まれ。
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芽夢野うのき「まだ秘めていますか芯の緋のこころ」↑
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