2021年3月2日火曜日

野間幸恵「雪舟の手よりこぼれる宇宙かな」(「北の句会」報告2021年2月・雨水号)・・・


 「北の句会」報告・VOL103・104・105号合併号、2021年2月・雨水号(丸山巧編集)、句会報告の手作り冊子とは思えない凝った作りで、句会の光景写真、また句の順位、得点内容、さらに、各句へのそれぞれのコメントも付されている。今号は、開催内容によると、令和2年5月23日(電網①)、10月18日、令和3年1月15日(電網②)だから、(電網)とあるのは、メールによる句会だったのだろう。で、令和2年10月18日(日)が唯一リアル句会で大阪市立生野区民センターで開かれてい(通算104号句会)。その会の自由詠(課題詠《宇宙》もある)のトップが、ブログタイトルにした野間幸恵の「雪舟の手よりこぼれる宇宙かな」と「目礼や霧はゆたかなスピードで」の両句で、総合獲得点一位であった。単独句による高点は4名が並んでいた。


   宇宙より轍の続く蟻の道        寺西建舟

   昇降機廃墟に残り星流る        北村虻曵

   余生ふと菊の日向をゆく時間      堀信一郎

   夜濯ぎや宇宙に終焉あるといふ    深井ちか子


 その他は、句会報全体から、アトランダムに一人一句挙げておきたい。


  西行の筆の細みに星流る        中山登美子

  嘘だっていいのよヨーグルトにかける  井上せい子

  コスモスの咲けり宇宙の音楽に      島 一木

  青インクにて書く文や鰯雲        新井君子

  七曜の星をこぼれる葛の花       小林かんな

  あやとりのトウキョウタワー月を抱く    七風姿

  モディリアーニの女見返るいぼむしり   綿原芳美

  宇宙(そら)からの暗闇を吐く桔梗かな  宗本智之

  詐欺師かもしれない月の匂いして     野間幸恵

  更衣白き手足を折り畳む         浅井廣文

  塗りつぶすための鉛筆子供の日     木村オサム

  張りぼての零戦模型初明かり       竹内順子

  去年今年付箋だらけの資本論       森本突張

  いつでも時雨るる用意はできている    三谷 泉

  松落葉消去法がそだつ         岩田多佳子

  きしむ扇風機父を盗み聞き       谷川すみれ

  代々之墓連なりし青葉かな        岡村知昭

  あかね空ひらひら包帯あすは征く     宮本武史

  ジャスミンの母方の蔓よく伸びる     羽田野令

  骸骨とダンスする絵を竹簾(すだれ)かな  泉 史

  手ではないものが手招く冬こだま     堀本 吟

  門ごとの輪廻転生初笑い         丸山 巧

  一瞬の五臓六腑や寒の水         野口 裕

  いくらどん北に会釈の羅針盤      浜脇不如帰

  実存の森に分け入り霧暴く        冨岡和秀

  嵐坊の無常の来たる門火かな    モリモトスガコ

 


★閑話休題・・・第52回原爆忌東京大会作品募集・・・(第51回入賞作品から・三浦二三子「いない人ばかりの写真ひろしま忌」)・・・

大会選者は、安西篤~渡辺誠一郎(50音順)まで、愚生を含め48名。以下募集要項です。

  

(1) 大会作品▲二句一組・千円(何組でも結構です)

    ・大会当日までネット上を含め未発表のこと。前書及び注記などは不可。

(2) 住所・俳号・作品・大会出欠予定を楷書で明下さい。

(3) 締切 6月10日(当日消印有効)

(4)送り先▲114-0023 東京都北区滝野川3-48-1-603 石川貞夫方

                    原爆忌東京俳句大会実行委員会 

                    FAX=03ー3916-5919

(5)応募料は、定額小為替、または現金にて、上記実行委員会まで。


●第52回原爆忌東京大会・・・・・

日時 2021年8月28日(土) 午後1時~

会場 北トピア・ペガサスホール(北区王子1-11-1)

   JR京浜東北線王子駅北口・地下鉄南北線王子駅5番出口直通。

記念講演 能島龍三さん(作家)「戦争のリアルを見つめて」。

大会出席予定の方には、後日会場や句会案内をお送りします。また、万一大会を催すことが

困難な状況と判断した場合、お知らせしますので、応募用紙の「出席」欄に必ず〇印をご記入下さい。


                 芽夢野うのき「紅梅のすこし遅れをとり青空」↑

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