「星雲」第58号・終刊号(星雲俳句会)、巻首、小川望光子「『星雲』終刊宣言」に、
(前略)突然なことでしたが、「星雲」主宰鳥井保和は持病の肺気腫(慢性閉塞性肺疾患COPD)の急変により、令和二年十一月三日に帰らぬ人となりました。主宰の遺言に、「星雲」は一誌一代、終刊を願うが、もし誰かが「星雲」の俳句精神を継いでくれるなら、誌名を変えて創刊するのは吝かではないとありましたので、ここひとまず「星雲」の終刊を宣言し、終刊号を発刊します。
一師一代一生誓子曼珠沙華 保和
愚直にも誓子一筋曼珠沙華 (以下略)
ブログタイトルにした保和「吃水に昆布躍らせ船戻る」(第二句集『吃水』より)は、「季節の一句」と題した花尻万博の筆になる。それには、以下のようにある。
鳥井さんことを先生と一度も呼んだことがない。私の中では鳥井さんは鳥井さんだ。「花尻君は句はいいんだから・・・」と私の句界での立ち回りのまずさをいつも心配してくれた。また大きな賞の締め切り前になると「〇〇賞には応募しましたか」とは言わずに、遠回りな催促をこまめにくれた。本当に何も恩返しが出来ないままに終わってしまった。私は大馬鹿者だ。
伝統を、守り続けることでしか踏み込めない領域があるとするならば、それは右句のことか。躍らせの措辞がひとしお豊漁の喜びを伝える。吃水は第二句集の名前にもなった。一番好きな鳥井さんの句、今号との季違いを承知で取り上げた。
また「星雲」編集長・小川望光子の「編集後記」によると、
(前略)後継誌を鳥井保和の名前にちなんで「鳥」と名付けました。卵のままで終ってしまうのか。生まれて大空に羽ばたけるのか。皆様のお力をお貸し下さい。
鳥井保和の第五句集を遺句集として出版したいと思っています。句集名を『星雲』と名付けようと思っています。きっと喜んでくれると思います。
とあった。順不同とあって、愚生も寄稿したが、橋本白木、山田佳乃、広渡敬雄、柘植史子、小泉博、矢須恵由、田島和生、林誠司、坂口昌弘、石井いさお、長嶺千晶、河村正浩、佐怒賀正美、松尾隆信、小林貴子、浅井民子、大竹多可志、また、会員の方々など、じつに多くの方が追悼文を寄せている。深悼。
0 件のコメント:
コメントを投稿