俳句・坂内文應、写真・渡辺康文「ほとけのこゑ展」(新潟絵屋)、2021年4月3日(土)~14日(水)、開館時間/11時~18時(最終日17時)、会場/新潟絵屋(電話025-222-6888・新潟駅万代口から観光循環バス「旧小澤家住宅入口下車徒歩4分)。
パンフレットの坂内文應「仏教と俳句走り書き」には、
まずもって半世紀も越佐の仏教美術を撮影してきた無類の居士、文殊堂さんとのコラボ企画を絵屋さんからいただいたことに感謝したい。(中略)
人類の精神史は、ざっと十数万年前からとみてよいと思うが、全世界的に言葉の統辞構造が確立した時に、同時に生まれたのが宗教と芸術であるという考察があり、わたしもその立場にいる。(中略)小千谷の詩人、西脇順三郎の詩作品に登場する原始人は、しばしばカタカナで叫ぶ。わたしはその滑稽で淋しくもあるこれらの”こゑ”に意味など求めはしない。なにやら心がひろやかに安らぐ。おそらく宗教と芸術以前の原郷的な空気を感じるからだろう。(中略)
世界の「詩」は全て韻文に始まっているが、その末裔として我が国に俳句がある。写真は、わたしにはフロッタージュの遠隔装置のように見えたりもする。光陰をこそげとっているような感じもある。(以下略)
とあり、近現代俳句の物故作家の「仏教+俳句33句抄」が添えられている。ともあれ、
以下に、いくつか、坂内文應の句を引用しておきたい。
水草(みくさ)生ふ首を傾(かたぶ)け如来像 文應
永き日やよき偈(げ)を唱へ地蔵尊
角(つの)大師へ氷を踏みて詣でけり
早蕨を手折りて衿羯羅童子(こんがらどうじ)かな
留(と)め処(ど)なく湧きては冷ゆる泪かな
施無畏印(せむいん)のやはらかにして春の闇
坂内文應(さかうち・ぶんのう) 1949年、新潟生まれ。加茂市龍澤山雙璧禅寺住持、俳誌「白茅」代表。
渡辺康文(わたなべ・やすふみ)1952年、新潟市生まれ。フォトグラファー。「文殊堂」主宰。
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