浜脇不如帰第二句集『ぷらずま・はいきっく/plasma・haiku-ick』(私家版),
跋は花谷清。それには、
句集『ぷらずま・はいきっく』にはたのしい作品がたくさん収められている。著者の浜脇不如帰さんと出合ったのは和田悟朗さんが代表をされている「風来」の定例句会であった。句座を共にした「風来」句会において、若手メンバーの浜脇さんが、物事を広く知り、よく記憶している特異な才能の持ち主だということを折に触れ感じさせられた。(中略)
浜脇不如帰さんの作品の特徴のひとつは、『広辞苑』の全ページを暗記しているのかと思わせるほどの、ボキャブラリーの豊富さにある。(中略)
零という偶数過るかまいたち
偶数の素数あふれる天の河
〈零という偶数〉は真、〈偶数の素数〉は偽である。一句目は、〈かまいたち〉との取り合わせが軽妙である。二句目は、〈天の河〉そして、宇宙には、真偽か分からないものが溢れていることを暗示しているのではないだろうか。
とあった。また、著者「あとがき」もさることながら、「著者略歴」を記しておくほうが彼の作品を理解する手掛かりにはなりそうだ。収録句もざっと計算すると、1000句を超えるほどはあろうか。その略歴を抜粋しておくと、
浜脇 野放流 不如帰(はまわきのほうりゅうふじょき)
1979年、俳句の日にひとつチコクして生まれる(最近気づきました)
小学5年~中学年まで、「河岸英語サークル」で、すぱるた三昧。おかげで、高校で全国偏差値76。
17の終りに、統合失調症になり、句作を始める 高校四年生を過ごす。
19歳、大学の先生の紹介で白燕に顔を出す。平成17年入会、最年少。
21年、白燕終巻。続いてまた和田悟朗の「風来」入会。28年、風来、悟朗逝去により終刊。
令和3年現在、子燕、北の句会、祭演同人。現代俳句協会会員。句群、18万五千句。
twitter 浜脇 野放流 不如帰 で、出てくると思います。よろしくお願いします。
本名 昇
本名が「昇」、子規の幼名=升(のぼる)と同じだから、そしてホトトギスの異称・子規のあやかって、俳号は「不如帰」なのだ(野放流・のほうりゅう=のぼる、からだろう)。句の表記は自在。ともあれ、集中より、いくつかの句を以下に挙げておきたい。
フミキリをX軸に揚天雀(ひばり) 不如帰
教科書に載ってナイのが夏休み
白玉と双璧をなす正露丸
生きるとは片道切符瀧の音
寄居虫(やどかり)や終の住処はチョココロネ
「席どうぞ」「次でおります」あたたかし
プチプチで包むピチピチ初がつを
ポッキーに折れることなき恋心
熱(ほとぼり)がプラズマ化する脂照
エイプリル・フールなのには違いねぇ
天高しそれよか地軸より深し
にんげんはちゃんとしくじる大嚏(くしゃみ)
菜種梅雨ふやけぬように手を翳す
初富士やどっかは不便新幹線
扇ぷう機なんでもなさを送りけり
敬老日さてここまでのダイジェスト
キリストは居たしじっさい居るし鮎
あまのがわくだけきったら皆水素
√5のあつかいかたに天の河
主イエスの血さらりキッパリ霜柱
撮影・鈴木純一「届きましたキンモクセイもギンモクセイも」↑
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