平松彌榮子は大正14年、大分市生まれ。昭和32年「馬酔木」入会とあるから、句歴は60年になんなんとする。現在は「小熊座」同人。
『雲の小舟』(角川書店)は第4句集らしい。序は懇切に、高野ムツオ。「あとがきに代えて」は著者本人ではなく我妻民雄。その冒頭に、
木犀日和雲の小舟は金の縁
亡くなられた夫君の出棺あるいは納骨日の景と思われる。辺りに木犀の香は流れ、後ろに太陽を宿した小さな雲は、黄金に縁どられている。ああ夫は、あの「雲の小舟」に乗ってゆくのだ。こんなにも美しい詩的幻想に荘厳された夫君は幸せであ。そして平松彌榮子はいま、覚醒よりも睡眠の長い時間の中にいる。身は鶴のように見えて気丈の人である。遠からずかくなるを予感し、渾身の力をふり絞って(中略)、おのの病身を描いては諧謔を、生死の交流を描くに、夢まぼろしというべき喩を用いたから、少しも欝々とするところがない。
見事な気息の一本というべきか。以下にいくつかの句を挙げておきたい。
青葉木菟ちちははの灯は絶えにけり 彌榮子
わが顔のいくつ捨つれば天高し
蔓引けば世の幕あがる葛の花
河骨や天の真水は荒れてゐる
足萎えも三年経たれば浮寝鳥
二百十日羽をちらして逝くわれも
兄病む空雲の鯨に雲の鱶
立たざれば立てざり菊の総立ちも
咲ききらぬ薔薇剪りこの世から遁がす
一人で会ふ初蝶が毀れさう
◆閑話休題・・・
愚生一週間ぶりのブログである。〇〇の疑いで、検査入院までは予定通りだったが、その後の脊髄麻酔による後遺症?で頭痛とめまいが続き(5%くらいはそういう人もいるらしい)。とにかく、この副作用は確実に治るからと言われ水分をとって横になっていたのだが、その間、痛みはなくなるものの、そうばかりもしていられない事情もある。仕事もある。というわけで、ついに本日病院に行って点滴、そして痛み止めの薬を処方してもらった。さすがに薬が効いて楽になったのでこうして一週間ぶりのブログをかいているのだが、その効きめも切れてきたようだから、このあたりで、お休みなさい・・・。
カラスウリの花↑
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