矢田鏃(やだ・やじり)、1953年大分県生まれ。81年より永田耕衣に師事。神戸市在住。現在、「らん」同人。第三句集『石鏃抄』(雺工房)。
さしずめ次の句には、
永田耕衣「白菜の道化箔(どうげはく)
なる一枚よ」の俤がある。
則天去私白菜のやうなもの 鏃
「あとがき」に言う。
わたくしの内なるテーマは、命の大切さ、命から萌芽する〈愛〉の切実さについて自分の文体で書き続けることだと考えています。荒廃した日本の隅っこで執拗に問い続けることです。
それを直截に詠ったのが以下の句。
ねつとり若葉第三の眼とは愛
少年や愛で火達磨の晩夏よ
赤い山いのちは愛の暗渠かな
蔓物の最も端に愛はある
また、愚生好みの句を挙げさせていただく。
金剛の全球なれや卵の中
一葉二葉と風の中冴え返る
謙譲や黒揚羽飛び批評だつた
星月夜手を天秤の上に乗す
ムクゲ↑
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