2017年10月14日土曜日

藤尾州「寒鰤よ向かうに在るはチェルノブイリか」(『美濃白鳥』)・・



                                                
                   扉絵・小川二三男↑

 藤尾州第二句集『美濃白鳥(みのしろとり)』(木偶坊俳句耕作所)、表紙装画は小川双々子、本扉挿絵は著者(サインはFumio Ogawa)、藤尾州、じつは小川二三男か・・・その絵について「あとがき」に、

 (前略)小川双々子が二〇〇二年に「地表」で「山山や踊りに裸電球垂れ 双々子」という作品を発表していたのを思い出し、白鳥を代表する徹夜踊りをイメージ出来るような、それらしい挿絵を描いてみようと思い立ち絵にした。譬え拙かろうがそんなことに御構い無く、故郷尾張一宮以上に自然も友人もいっぱいの、ああ美濃白鳥よ・・・の思い入れである。羨ましそうに視る「その人」は藤尾州か小川二三夫男でもある。

そして、また、

本書は美濃白鳥に独居した二〇〇九年八月より二〇一五年七月までの六年間と、この地を離れてから今も機会があれば行き来している二〇一七年五月までの二二四句を収録した第二句集である。

と冒頭に記されている。
愚生と同じ団塊世代だからかもしれないが、句の心情に味わい汲みつくせないものがある。ともあれ、いくつかの句を以下に挙げておこう。

  家が涙す地に氷柱届きけり          州
  亡友幾人(ともいくたり)空蟬落ちず掴みをり
  陶物(すゑもの)に耳のありけり虫の声
  天は手妻黒き雲から雪を出し
  万の傘咲く花火師へ雨の降り
  はてしなき旅も果てあり浮寝鳥
  蜘蛛の囲に飛花囚はれてもう逃げず
  花筏まだ乗らずして見送れり
  白雪を裏返したり黒し苦し

 藤尾州 1948年愛知県生まれ。
  




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