2016年6月5日日曜日

池田澄子「花を見に来たわけでなし花から花」(「船団」109号)・・・




「船団」109号(南方社)の特集は「生誕300年の蕪村」。「豈」同人でもある池田澄子のミニエッセイと蕪村選句は「涼しさや鐘はるかなるかねの声」。
蕪村に関わる論で面白かったのは、木村和也「日の草城ノート②」で「ミヤコ・ホテル」連作と蕪村「春風馬堤曲」との関連性。

  「ミヤコ・ホテル」はその物語性において「春風馬提曲」につながっている。また、あくまで女性が主人公で男は背後に潜む黒子にすぎないという構図も「春風馬提曲」と通じている。草城の脳裏にこの俳詩があったことはほぼ間違いないように思われる。

また、篠原資明「ポップ俳句ー足穂の蕪村評をめぐって」も興味深いものだった。蕪村吟行ではそれぞれのグループに分かれて、「丹後」「毛馬」「伏見」「四条烏丸」角屋」「金福寺」など吟行句会を開催しているのも、特徴だろうか。
その他、巻頭の特別作品30句は4名、以下に各人の句を引いておこう。

   野遊びやくまなく黒き幕垂れて       鳥居真里子
   二枚より一枚怖し春の舌  
   寒の入りオカンがブレークする予感    静 誠司
   蛇穴を出るマニュアルはないけれど
   ねてさめてまたねるまでの凌霄花     秋月祐一
   ねじ一本あまつてをりぬ鰯雲
   水鳥がどこにもいないので帰る      若林武史
   梟はまとめて夜にぬりつぶす   

    

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