2016年6月30日木曜日

流ひさし「空の中に虹現れて鳥立てり」(『LOTUS』第33号)・・・



「LOTUS」第33号は「森久/流ひさし 追悼号」である。
流ひさしのLOTUS時代の誌上句集として、作品308句も掲載されている。
流ひさしは本年2月12日に死去。享年65。愚生もそうだが、「未定」創刊同人だった。東大では俳句会ともども将棋部に所属したらしく、愚生などは完敗もいいところだったような・・・。
追悼文は、同人以外では、かつて学習塾を共同経営したという小林恭二、「未定」の高原耕治、また清水愛一、高柳蕗子、久保明が寄稿している。高柳蕗子によると、俳句を中断していた時期は青山鉄夫という筆名で歌誌「かばん」に所属していたという。
以下に寄せられたLOTUS同人以外の面々のいくつかの追悼句を挙げておくこう。

   脱ぎ捨てて君はとうめいに大空に抱かれまさぐりすすり呑む青  高柳蕗子
   
   微風にともる
   魔の
   かの昔日の
   蟬しぐれかな        高原耕治

   虫こぶの
   またたびいらず
   旅烏             田沼泰彦

   皇宮の
   森の
   流れの
   久遠かな          山口可久實

   流れゆく春の夢こそひさしけれ      今泉康弘
   ひはかげるさはげるせおとしづまれよ  上田 玄
   流れるあかるさ ひさしきは丘の火よ  大井恒行  
     森氏に「寸志とて藪の入日を賜りぬ」の一句あり
   得しものはなけれど清(すが)し懐手   小林恭二
   いちがつの真空を行く羽音在り      増田まさみ
    

以下はLOTAS誌の中で引用されたいくつかの流ひさしの句である。


   海時化てががんぼを出す天袋     ひさし
   春の水かわいて春ののこりけり
   水底の陽を漕ぐ薔薇をなす灰よ
   星々は月には触れず椿落つ
   秋の山しづかに土をつみかさね
   滴りの落下の途中にて終る
   もう蝶の飛ばぬ野原を蝶とべり



                   オシロイバナ↑

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