2016年6月20日月曜日

池田澄子「前ヘススメ前へススミテ還ラザル」・・・




池田澄子夫君の著書を紹介する。愚生の記憶では、攝津幸彦の亡くなったとき、夜、池田澄子のお宅に数名が集まって、その連絡にあたり、確か、各新聞社宛にその死亡記事を作っていただき、FAXを送る際に一度だけお会いしたことがある、と思うが、優しそうな人、という印象以外は、今、あまり思い浮かばない。ただ、夫君は、ここ数年、週に数度の人工透析をしながらの執筆だとは耳にしていた。
池田龍夫著『時代観照ー福島・沖縄そして戦後70年へ』(社会評論社)。略歴には、1930年生まれ。ジャーナリスト・日本記者クラブ会員。
主著に『新聞の虚報・誤報』(創樹社)、『崖っぷちの新聞』(花伝社社)、『沖縄と日米安保ー問題の核心は何か』(社会評論社・共著)などと、愚生が現役書店員だったころの社会科学書関係の懐かしい出版社の名が眼に入った。
ああ、そうなのか、この道一筋、筋金入りの人なのだ、と思ったのだ。内容は主にウェブ上の「ちきゅう座」「NPJ」に掲載されたものをまとめたとあるから、読めば、まさに只今現在の、現実認識に、その批評眼とともに、時代状況の困難さを思い知らされる。
第1部2010~2011年から第5部2015年までの項目のみの目次が13ページも続くのを見ても継続する眼を感じる。。そのことが帯文にしるされている。

2011年3月11日の東日本大震災・東京電力福島原子力発電所の惨事から、戦後70年を迎えた2015年、9月19日の自民・公明連立政権による安保法制の強行採決にいたる約5年間の、日本における政治的焦点をめぐる「観照」を集大成した。憲法を破壊し戦争ができる国家へと進む安倍晋三政権とそれに抗議する市民の抵抗の記録でもある。




ついでと言っては憚られるが、俳人にして写真家の豊里友行(39)の「基地の島直視 俳人が詠む」「沖縄の戦いは現在進行形」という東京新聞6月18日夕刊記事に彼の、沖縄を詠んだ句が紹介されていたので、以下に紹介する(記事には、彼の写真・シュワブゲート前・ガマの中の水没する遺骨なども掲載されている)。

   蝶の影奪う基地は白い海      友行
   蛙啼く声紋を剥ぐ基地の闇
   怒怒怒怒怒怒オスプレイ怒怒怒怒怒怒
   牛蒡(ごぼう)抜きされてく草の民の声
   鮮やかな原野遺骨に星のさざなみ




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