夏石番矢還暦記念「夏石番矢自選百句色紙展」(於・OKIギャラリー5月19日~28日)に合わせて『夏石番矢自選百句』(沖積舎)が刊行された。
ブログタイトルの句は、その謹呈署名に揮毫されている句である。
夏石番矢の計らいだろう。
その句が収められているのは句集『神々のフーガ』(弘栄堂書店・1990年)である。いまは無き、弘栄堂書店に務めていた折りに愚生が制作した思い出深い句集である。
四半世紀も前の事になる。今や愚生もすでに60歳半ばを過ぎてしまった。
夏石番矢に会ったのは、まだ彼が東大駒場の学生だった頃だ。井の頭線を使えば、愚生が務めていた弘栄堂書店吉祥寺店は近い。当時、隣の駅の三鷹駅前公団団地に住んでいた愚生宅に遊びに来たこともあった。
その時の初々しい青年・夏石番矢が還暦を迎えるというのだから、いくばくかの感懐はある(とはいえ、この年齢になってみると、そんなに年齢がかけ離れていたわけでもないようにも思えるから不思議だ)。
夏石番矢の第一句集『猟常記』(静地社・1983年)の出版記念会は、高柳重信の告別式の日と重なった。多くの人は喪服のままその記念会に出席されていた。現代俳句に警鐘を鳴らし続けた重信の、その告別の日が夏石番矢の出立を祝う会なのだから、出席者の多くもその奇縁にふれた発言をされていたように思う。重信の享年は60である。その薫陶を受けていた夏石番矢は、さらに今後の生を繋ぐことになる。、
思い返すと、愚生は高柳重信の葬儀には出なかった(若気の至りだったろうか)。
夏石番矢の書について鎌倉佐弓は「解説」を以下のように結んでいる。
ある文字は楽しげに天を目指し、ある文字は嬉しくてたまらぬように、地平を目指す。そのリズムはいつしか読む者の心をも解き放ち、文字と一緒に軽やかにさせずにはおかない。
テッセン↑
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