2015年5月1日金曜日

「豈」57号 同人一人一句・・・



そろそろ、みなさんのお手元に「豈」最新号が届く頃だと思います。
今日は、「豈」57号の作品掲載があった同人一人一句を掲げます。
次号「豈」(12月刊予定)は、新同人を含めての年鑑風、同人全員「Who'S Who」の予定です。

  その町は冬桜にて行き止まる            秋元 倫
  此処に居る誰もが居ない世や春月         池田澄子
  日章旗乳にて濡らす午睡かな            牛丸敬史
  原子力発電所すめろぎも穀雨なか         大井恒行
  風に問えカイエの在り処凍てし日も         大橋愛由等
  らくらくときみと卵は立っている            大本義幸
  トロンボーン吹かれて雨の大晦日          岡村知昭
  核の傘いくつひろげて天の川             恩田侑布子
  月光に満たされてゐる三輪車             鹿又英一
  来てみれば花は満開誰も居らず           神谷 波
  
  乳房
     なき
   母
    凍て
      つきる
  赤い 月                         神山姫余

  ビル颪油圧で動く手足かな              川名つぎお
  初景色廃墟廃屋廃炉塵                北川美美
  日蝕は淫花を消耗して萌ゆる            北野元生
  柿食えばどこかで漏れる汚染水           北村虻曳
  滴りの国滅びつつ光りけり              倉阪鬼一郎
  変名をすれば変身できる魚              小池正博
  暗証番号落としてきたり麦の秋           小湊こぎく
  段ボール函からの白息無言劇            小山森生 
  ガラリヤへ日の傾くや青葉潮             五島高資
  にんげんの不在あかるし春の水           堺谷真人
  からすうり子供110番の家              坂間恒子
  月光の手話階段を駆け上がる            杉本青三郎
  
  さねぶとなつめ【樲】短い命と
               いう約束             鈴木純一

  人界に無限の罠や秋の草               関 悦史
  胸中に棲む綿虫の発光す               関根かな
  残る雪それは汚れてゐやうとも            妹尾 健
  種袋よりすめろぎの寝息かな             高橋修宏
  ざくろからほどけてゆきしあんだるしあ       高橋比呂子
  死なないものはダリの時計や満月や        津のだとも子
  さくら咲くもっと孤独になってゆく           中戸川奈津実
  稗史すべて録音しやう囀りも             中村安伸
  枯蓮やもはや敵意も友好も              夏木 久
  蜘蛛の巣に夕日燃え盡きはせぬか         新山美津代
  振り向いても鏡地獄は抜け出せず          萩山栄一  
  表札の外され船よやうな家               橋本 直
  理不尽な死後の恋とも山櫻               秦 夕美
  ラ・フランス恋と変とを間違えて            羽村美和子
  鬱王に全裸で抱かる椿かな              早瀬恵子
  仏像の後ろ空気清浄機                 樋口由紀子
  惜春の沖を既視(でじゃびゅ)の手漕ぎ舟      福田葉子
  伝言は一コマずつの明暗です            藤田踏青 
  祭礼は明日なり木場の蝉時雨            藤原龍一郎
  遠国に子供飢えおる裘(かわごろも)         堀本 吟 
  担がれてこの世に迷う神男              真矢ひろみ
  蝶塚に重なり合える破れ蓮(はちす)         森川麗子
  「あんた変わった子だった」と母 水仙花       森須 蘭
  人魚はにんぎょジュゴンと云わないで        山上康子
  全裸より勝る全裸の鏡餅                山﨑十生
  春の鳥あふれつつ啼く悲の器             山村 曠
  腑に落ちる椿の音はきるけごーる           山本敏倖
  おぼろ夜の不思議な二人石を蹴る          わたなべ柊
  もみにもむ鳩変身のハンカチーフ           亘 余世夫



      
  


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