2018年12月14日金曜日

倉阪鬼一郎「町に人の愛あるあかしさくら耳」(『俳句ねこ』)・・



 倉阪鬼一郎&写真・沖昌之『俳句ねこ』(発行・ホーム社、発売・集英社)、表4側の帯には、

  『必死すぎる猫』の写真家・沖昌之と、『猫俳句パラダイス』の俳人・倉阪鬼一郎の鮮烈なコラボ!猫俳句歳時記&猫写真集

と惹句されている。ブログタイトルにした「町に人の愛あるあかしさくら耳」の句には、以下の註も付されている。

「季語」さくら(耳)
野良猫を捕獲して不妊手術を施し、また元へ戻せば、地域ねことして平穏な猫生を送れますし、ひいては殺処分ゼロにつながっていきます。TNR活動と呼ばれるこの活動によって不妊手術を受けたねこは、目印のために耳をさくらの花びらのようにカットされます。町に愛のあるあかしの、季節はずれの桜です。

 その左ページの猫の写真(上掲)をみるとたしかに猫の耳はカットされている。これもまた、愛のというかなしい姿のひとつなのかもしれない。「はじめに」で沖昌之は、

 倉阪鬼一郎さんがぼくの写真に俳句のせて楽しんでくださったところから、この『俳句ねこ』はスタートしました。

 と記し、倉阪鬼一郎「あとがき」には、

 作曲家の古賀政男(こがまさお)は「詞はお姉さんで、曲は妹」と語っていました。お姉さんの導きあっての妹というわけです。
 本書では、沖昌之さんの写真がお姉さんです。沖さんが撮影された目移りの連続の膨大な猫写真を見ているうちにひらめいた俳句を書き止め、少しずつ本文を構成していきました。
 自作の俳句のほうが付けやすいのですが、人の句が浮かんだときはそちらを採用しました。

 とある。猫好きの人にはたまらないだろう。


薄闇にねこ涼みゐる青さかな      倉阪鬼一郎↑



猫の子がちょいと押へるおち葉哉    小林一茶↑


       冬空や猫塀づたひどこへもゆける    波多野爽波↑

 沖昌之(おき・まさゆき)1978年、神戸生まれ。
 倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう)1960年、三重県生まれ。



0 件のコメント:

コメントを投稿